国内半導体生産Report#142個別半導体 IGBT需要再加速 サーミスタも急回復
日本の個別半導体は、多くの項目で販売数が落ち込んでいる。ただ、IGBTが一時の減速を忘れる様に再び販売数を増やしている。また、サーミスタも2023年初めの落ち込みを忘れる様に販売数が急回復している。
【1】個別半導体販売概況
経済産業省の生産動態統計によると、2023年9月の日本の個別半導体の販売額は990億円、前年同月比2.7%増加し、3か月連続のプラスとなった。過去10年のうち、単月の販売額としては、最高記録となった。次回決算月となる12月か、2023年年度末となる来年3月にも1千億円を超えるかもしれない。
2023年1-9月の同累計販売額は7,888億円、前年比1.4%増加した。同累計では、2020年から4年連続で増加している。
【2】IGBTのPSI
2023年9月のIGBT販売数は2,812万個だった。2022年度末の3月には、過去10年で最も多い販売数2,361万個と、記録更新したが、今回はそれを大幅に上回る販売数となった。前年同月比26.7%増加し、2か月続けてのプラスとなった。その前2か月がマイナスで、この時6月には34か月ぶりのマイナスに転じていた。同販売数は、一瞬減速だったが、直ぐに戻している。
9月の同販売平均単価は、1個あたり1,056円、前月より155円安だった。4か月続けての下げとなった。1月以来の安値となった。
ただ、同販売数が多く、販売平均単価も2020年以来の高値圏にあることから、同販売額も高水準にある。2023年1-9月の同累計販売額は、2,206億円、前年比28.6%増加した。昨年の年間販売額に残り約190億円まで迫った。
9月の日本のIGBTの生産数は2,137万個、前年同月比10.1%増加し、4か月続けてのプラスとなった。
また9月の同在庫数は1,426万個、前月より652万個減少した。3か月前の水準に戻した。前月まで同在庫数が急増し、前月は2014年以来の2千万個超えとなった。どうも、今回9月の販売数の急増は予定通り動きで、前月までの在庫急増分が消化できることがわかっていたものと思われる。ただ、決算月の販売数の急増は、反動からその後の販売数を一時的に減らすことがある。10月以降の同販売数の動きにも注目したい。
【3】サーミスタのPSI
このところサーミスタの国内販売数が急回復している。2023年9月のサーミスタの販売数は6億2,720万個だった。前年同月比29.4%増加し、5か月連続のプラスとなった。4か月続けて6億個を超えたが、その前6億個を超えていたのは、1年前である。
9月の1個あたりの同販売平均単価は9.0円、前月より042円高だった。昨年、販売数を落ちした時、一時的に16円手前まで上昇したことがあるが、販売数の回復とともに元の10円以下で落ち着いている。
9月の同生産数は5億9,798万個、前年同月比26.1%増加し、5か月連続のプラスとなった。
9月の同在庫数は、9億1,298万個、前月より3,606万個減少した。昨年後半から2023年初めにかけて販売数が大きく落ち込んだ時には、同在庫数も一時的に14億個と急増していた。ただ、販売数の回復とともに在庫数も10億個を下回るところまで減ってきている。
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(K.AKIYAMA)
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