WSTS2023年秋半導体市場予測(製品別) 生成AI向け半導体早期回復 IoT向け期待外れか
WSTSの2023年秋の半導体市場予測によると、生成AI向けの半導体が早期に回復し、メモリとロジック、マイコン向けの売上が半年前よりも上方修正となった。一方、5GやIoT向けの需要増加が期待されていたオプトやセンサーは大幅下方修正となった。
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WSTS2023年秋 半導体市場予測概況 売上前年比23年9%減 24年13%増のV字回復
【1】半導体品目別売上(メモリ、ロジック)
<メモリ>
2023年11月28日に公表されたWSTS2023年秋の半導体市場予測によると、2023年のメモリの売上見込みは896億ドル、2022年より更に402億ドル、31.0%減少とした。1千億ドルを下回るのは2016年以来7年ぶりである。春の見込みよりも56億ドル上方修正している。
ただ、2024年売上予測は、1,298億ドル、前年比44.9%増加と大幅反発とした。昨年のメモリの売上が1,298億ドルで、ほぼ同じ水準にまで戻るものと予測している。こちらも春の予測よりも95億ドル上方修正している。
<ロジック>
2023年の売上見込みは1,749億ドル、前年比0.9%16億ドル減少とした。こちらも春の予測よりも15億ドル上方修正し、前年比のマイナス幅が半分に縮小した。生成AIが春の時点以上にロジックの売上を大きく増えものと見込んでいる。
2024年の売上予測は、1,917億ドル、前年比9.6%増加とした。メモリほど2023年減少に対する反発は小さいが、過去最高だった昨年の売上を約150億ドルほど大きく上回るものとしている。
【2】半導体品目別売上(アナログ、マイコン)
<アナログ>
2023年のアナログ半導体の売上見込みは811億ドル、前年比8.9%減少とした。春の見込みよりも129億ドル下方修正した。その前は、昨年の秋の予測に対して30億ドル上方修正していた。この上方修正から下方修正への180度反対に見直しした背景に、この1年間のうちに、通信関連、特に5GやIoT関連の需要が思った以上に伸びないことがわかったことがあると思われる。
また2024年の売上予測は851億ドルと、前年比3.7%増加とした。こちらも春より48億ドル下方修正している。これも5GとIoTの需要が弱いと見ているためと思われる。
ただ、潜在的には、人件費の高騰などから、IoTを駆使した生産性の高い製造装置や生産ラインの需要が伸びている。今後、設備投資が再び伸びてくると、アナログ半導体の売上にプラスの影響が強まる。2024年には、再び設備投資が増えると思われ、来年、WSTSは再びアナログの売上を上方修正するかもしれない。
<マイコン>
2023年のマイコンの売上見込みは766億ドル、前年比3.2%減少とした。こちらも、前回春の見込みより51億ドル上方修正した。こちらも前回春の段階で1年前の予測を38億ドル下方修正していたが、今回真逆の上方修正となった。
2024年の売上予測は、819億ドル、前年比7.0%増加とした。春の予測よりも61億ドル上方修正となった。マイコンは、前回、過去最高だった2021年の802億ドルを24年も超えないとしたが、今回超える予測となった。
【3】半導体品目別売上(オプト、センサー、その他個別半導体)
<ディスクリート>
2023年の見込みは360億ドル、前年比5.8%増加とした。こちらは春の見込みとほぼ変わらない微増とした。
ただ、2024年の売上予測は、375億ドル、前年比4.2%増加とした。春の予測よりも7億ドル下方修正した。
パワー半導体を中心にディスクリートは2023年、24年も伸び続けるとしている。それでも2024年の予測が半年前よりも下方修正していることから、ディスクリートの成長をけん引するIGBTの売上も、そろそろ増加が鈍化してくるかもしれない。
<オプト>
2023年の売上見込みは426億ドル、前年比3.0%減少とした。春の見込みよりも34億ドル下方修正した。前回は6億ドル上方修正していた。
2024年の売上予想は、433億ドル、前年比1.7%増加とした。やはり半年前の予測よりも26億ドルの大幅下方修正となった。
<センサー>
2023年の売上見込みは194億ドル、前年比10.9%減少とした。こちらは前回の27億ドルの下方修正から更に10億ドルの下方修正をした。
2024年の売上予想は201億ドル、前年比3.7%増加とした。春よりも14億ドルの下方修正である。
センサーがこれほど大きく下方修正しているのは、5G、IoT絡みの需要が見込めないためと見られる。
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(K.AKIYAMA)
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