中国、23年GDPは5.2%増 10-12月期も5.2%増、不動産は一段の悪化
中国国家統計局が1月17日に発表した中国の2023年の実質国内総生産(GDP)は前年比5.2%の成長となった。2023年10-12月期も前年同期比5.2%増加。工業生産高や輸出入が小幅に改善した一方で、不動産市況の悪化は進んだ。
中国の2023年の主要経済指標
(注)単位は新規融資以外は前年同期比増減で%、固定資産投資と不動産開発投資は1月からの累計、GDPは四半期。
(中国国家統計局、中国海関、中国汽車工業協会、中国人民銀行などの発表をもとにIR Universeが作成)
2023年1-12月期の不動産開発投資は前年同期比9.6%減で1-11月期の9.4%減から減少率が拡大した。1月17日発表の主要70都市の12月の新築住宅価格は0.45%下落と2015年以来およそ9年ぶりの大きな値下がりとなった。
都市部の固定資産投資は3.0%増と小幅に改善。ただ、「中国の投資は公的投資で支えられている」(金融アナリストの川上敦氏)とされるにしては、勢いは鈍い。工業生産はやや改善したものの製造業の景況感はさえず、小売りも目立った改善は見られない。全体的に弱含む中、救いは貿易がやや改善したことだが、これも本格的な改善かは見極めにくい。
中国GDPの推移
(出所:中国国家統計局)
不動産市況の明るい兆しが見えない中、景気てこ入れ策も実施されていない。中国人民銀行は1月15日、中期貸出制度(MLF)の1年物金利を前月から据え置くと発表した。中国の実質的な政策金利に当たる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)はMLF金利をもとに決められるため、12月20日発表のLPRも据え置かれる公算が大きい。
打つ手が限られる中、米ブルームバーグ通信は1月16日、中国が1兆元(約20兆3000億円)規模の特別国債発行を検討しているとの消息筋の話を伝えた。
(IR Universe Kure)
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