日本の酸化セリウム輸入は、昨年から2023年初めまで減少傾向が続いていた。しかし、このところ輸入量が増加に転じており、2023年1-10月の累計輸入量が昨年を上回るまでに至った。中国からの輸入が回復したのが大きい。
【1】酸化セリウム輸入概況
財務省の貿易統計によると、2023年10月の日本への酸化セリウム輸入量241トンだった。前年同月比293%増加し、6か月連続のプラスとなった。毎月の輸入量が大きく変動するため、前年同月比も大きく上下動しやすい。ただ、このところの同輸入量は、毎月のように増やしている。昨年、輸入量が大きく減らしたが、ここに来て回復基調が見えてきている。
10月の酸化セリウム輸入平均単価はキロあたり2,071円、前月より1,531円高だった。前月はフランスからの輸入が無かったが、今回フランスからの輸入があった。そのため、同輸入平均単価は大きく上昇している。
2023年1-10月の同累計輸入量は1,499トン、前年比13.2%増加だった。やっと累計でも昨年を上回るようになった。
【2】酸化セリウムの輸入先
昨年に続き2023年の初めまでは、輸入量が減少傾向にあった。その一つに半導体の需要が急速に冷え込んだことから、その半導体の製造時に使われる酸化セリウムを大量に輸入しているフランスからの輸入量が大幅に減少した。ただ、それ以上に日本の酸化セリウムの輸入量の8割近くを占めている中国からの輸入減少が大きく影響していた。その中国からの同輸入が着実に回復してきている。
あと、このところ台湾からの同輸入平均単価が緩やかに下落している。台湾から博多に毎月一定量の輸入が続いて、毎月の平均単価も一定していた。ただ、昨年から同輸入平均単価が上昇していた。それが、゛先月と今回10月と下落している。
2023年10月の酸化セリウムの主要な輸入先からの輸入量とキロあたりの輸入平均単価、前月との差は、以下の通りである。
中国 192トン 352円(88円高)
台湾 21トン 2,544円(15円安)
フランス 28トン1万3,616円(前月輸入無し)
【3】税関別
2023年10月の酸化セリウムの主要な税関と輸入量とキロあたりの輸入平均単価は、以下の通りである。
東京 28トン1万3,802円
新潟 167トン 356円
神戸 2トン 465円
名古屋 23トン 312円
博多 19トン 2,543円
福岡空港 2トン 2,551円
半導体製造工程で研磨剤として使われる酸化セリウムのうち、フランスから輸入が東京に集中している。東京への集中は、2020年から進んでいたが、特に昨年に大きく拡大した。
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(IRuniverse/K.AKIYAMA)