海外資源企業の6月期決算がほぼ出そろった。今回は2回に分け、まずは欧米企業の業績内容をまとめる。欧米の資源大手の場合、決算期は企業によってまちまちだが、6月末までを区切りとしてみると、期間中の銅や金などベースメタルの価格上昇に支えられた面が強かった。ただ、全般に減益も目立ち、大手のグレンコアが赤字転落するなど苦戦もあった。
世界の資源大手の2024年6月期決算概要
(注)名称は通称。通貨単位は億。ライナスは豪ドル、テックはカナダドル、他は米ドル。数字の端数は四捨五入。▲は赤字。
期間中は銅や金、鉄鉱石、アルミなどのベースメタルの価格が上昇した一方、コバルトやニッケルといった卑金属、マイナーメタルの価格は低迷した。さらに為替市場では米ドルの独歩高が進み、米ドル以外で決済する企業は為替差損も計上した。
こうした中、資源大手では扱う商品によって明暗が分かれた。まず、アルミ価格の上昇で恩恵を受けたのは米アルコア・コーポレーション。前年同期の赤字から黒字転換を果たした。ブラジルのヴァ―レも鉄鉱石価格の上昇が寄与した。シンガポール拠点の仏系トラフィグラ、英豪リオ・ティントも銅やアルミの価格上昇で増益を確保した。
一方、カナダのテック・リソーシズは減益だった。ライナス・レアアースとBHPのオーストラリア資源大手はそろって通期が大幅減益。スイス資源大手のグレンコアは、コバルトやニッケルの価格低迷が圧力となり赤字転落した。グレンコアは銅も扱うが、製品需要の不振もあって相殺しきれなかった。
BHPからの買収提案をやっと振り切った英アングロ・アメリカンも赤字転落した。業績低迷が続けば、BHP以外からも買収の標的にされかねない。
(IR Universe Kure)