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レアメタル系スクラップ市場近況 2023#10 好調のタンタルと航空機向け原料

 レアメタル系スクラップを取り扱っている業者によると、先月の状況からの好転は今のところ見えておらず、世界全体で経済状況が悪化の一途を辿っている事が製品需要に大きな影響を及ぼしているとの事である。
特にこれまで需要家であった中国の経済における失速状況は、ステンレス業界に対して懸念事項として持ち上がっている。

 中国では自動車の次に建材としてステンレスの需要が大きく、中国の不動産開発会社である恒大集団の連邦倒産法第15章の適用における各種開発事業の凍結と赤字決算の発表は、中国におけるステンレスの需要の柱の一本が折れかねない状態まで追い込まれる事を如実に表している。

 LMEニッケル相場は9月後半から段階的な値下がりを見せており、10月3日時点で18,510$/ton辺りへと落ち込んでいる。LG(ローグレード)コバルトは逆に復調の兆しを見せており、先月16.21ドル/lbベースであったのが10月3日時点では16.475$/lbへと徐々に値を上げている。需要の回復があると見て良いだろう。
 

 

(LMEニッケル相場$/tonとLGコバルト相場の推移$/lb)

出所:MIRU.COM


 
 ステンレススクラップについては、先月から変わらず中国勢の買いに対して国内のステンレスメーカーは後塵を拝している状況。
日本のステンレスメーカーは、安値での大量販売ではなく、利益重視であるため、今の利益が出る価格帯をキープするべく減産体制を維持。ゆえに原料であるスクラップの需要もさほど高くはない。中国勢、輸出業者の価格の後追い的な価格設定になっている。

 

【チタン】
・純チタン板スクラップ(新断)「→」:360円/kg。前月比「横ばい」
 
・合金6-4チタンダライ粉「→」:高値200円/kg、安値190円/kg。前月比「横ばい」
 
・フェロチタン「↗」:高値6.1ドル/kg、安値5.8ドル/kg。前月比高値0.1ドル「上げ」、安値0.15ドル/kg「上げ」
 
・スポンジチタン「↗」:高値7.29ドル/kg、安値7.16ドル/kg。前月比高値0.54ドル「上げ」・安値0.60ドル「上げ」
 
フェロチタンもスポンジチタンも、現在下期向けのオーダーが入っている状態でありその影響を受けての値上がりであると見られている。
鉄鋼添加剤、航空機向けとして使われるスポンジチタンの上げ幅は強く、フェロチタンの値上がりもその影響を受けて繋がっている。
 


(フェロチタン相場の推移$/kg)

出所:MIRU.COM
 


【工具類】
・ダイス鋼MIX「→」:30円/kg。前月比「横ばい」
 
・SKD61「→」:65円/kg。前月比「横ばい」
 
・ハイス(ミックス)「→」:高値320円/kg、安値295円/kg。前月比「横ばい」
 
・ハイス(一品もの)「→」:高値330円/kg、安値300円/kg。前月比「横ばい」
 
・超硬スクラップ「→」:2,400円/kg。前月比「横ばい」
 
今回はどの品目においても変動は見られていない模様であった。
 
【モリブデン】
・酸化モリブデン「↘」:高値23.5ドル/lb、安値23ドル/lb。前月比高値2.5ドル「下げ」、安値2ドル「下げ」
 
・モリブデン新切れスクラップ「→」:高値3,300円/kg、安値3,000円/kg。前月比高値・安値ともに「横ばい」
 
・フェロモリブデン「↘」:高値54ドル/kg、安値53.5ドル/kg。前月比高値2ドル「下げ」、安値1.5ドル「下げ」
 
市場に対する警戒感が出たのか、モリブデンに関してはモリブデン精鉱の価格低下が発生している。
この煽りを受けて各種品目も値下がり気味であり、この状況で在庫を一層したいというサプライヤーの動きが活性化すると見られ更に価格は落ち気味となる可能性は高い。 モリブデンスクラップは特殊鋼メーカーの買いが強くないため横ばい。


(酸化モリブデン$/lbとフェロモリブデン価格の推移 $/kg)

出所:MIRU.COM


 
【タンタル】
・タンタライト「↗」:高値77ドル/lb、安値75ドル/lb。前月比高値・安値ともに4ドル「上げ」
 
・タンタル「↗」:高値306ドル/kg、安値296ドル/kg。前月比高値・安値ともに2ドル「上げ」
 
・タンタルスクラップPIN「→」:高値28,000円/kg、安値26,000円/kg。前月比「横ばい」
 
・五酸化タンタル「↗」:高値243ドル/kg、安値ドル233/kg。前月比高値・安値ともに11ドル「上げ」
 
タンタルの需要増加の傾向に伴って全般的に価格が上昇。
また全体的な生産コストの上昇も相まって、今後もしばらくは価格上昇の流れが続くと見込まれている。


 
【ステンレス 、耐熱系】
・SUS304「↗」:195円/kg。前月比10円「上げ」
 
・SUS310「↘」:380円/kg。前月比20円「下げ」
 
・SUS316「↗」:350円/kg。前月比20円「上げ」
 
・SUS330「→」:680円/kg。前月比「横ばい」
 
・SUS430「↗」:66円/kg。前月比2円「上げ」
 
・42アロイスクラップ「↘」:850円/kg。前月比50円「下げ」
 
SUSが全体的に値上げ傾向にあるのは、これまで単価が安かった為メーカー側と問屋側で交渉に入った可能性が見込まれる。
前述したように主として中国系のスクラップディーラーの買いが下がっていないことが要因。発生不足も相場を下支えしており、指標ニッケル相場が下落してもスクラップは下落しない構造。いわゆるナイモノ高。市中実勢で304系はコンテナ詰めでキロ当たり200円、クロム系も港置き場で70円前後(MIX)で推移している。こちらも輸出向け主導。

 

(LMEニッケル相場と304系スクラップ相場の推移 最近6か月)


 
銅ニッケル合金のキュプロニッケルは、9/1キュプロニッケルが前月比横ばいの680~780円/kg。7/3キュプロニッケルは820〜880円/kg。
7/3キュプロニッケルについては高値、安値ともに前月比60円の「下げ」である。
 


【ハイニッケル合金系】
・インコネル718「↘」:高値1,130/kg、安値1,030円/kg。前月比高値30円、安値10円の「下げ」
 
・インコネル625「↘」:高値1,320/kg、安値1,220/kg。前月比高値40円、安値50円の「下げ」
 
・インコロイ800「↘」:高値650円/kg、安値580円/kg。前月比高値10円、安値30円の「下げ」
 
・ハステロイX「↘」:高値990/kg、安値900円/kg。前月比高値10円の「下げ」
 
・ハステロイC「↘」:高値1,230円/kg、安値1,130/kg。前月比高値・安値ともに40円の「下げ」
 
ニッケル市場の価格下落が影響しているのか、どの品目も価格低下気味の状況である。ステンレス特殊鋼メーカーは高いニッケル源を欲していないのが実状。
 
鉄・ニッケル・コバルト合金のコバールは前月比50円「下げ」の450~550円/kg、ニッケル・クロム・銅・モリブデン合金のカーペンターは前月比「横ばい」の580円/kg。
コバールについては現状、コバルトの価格低下が響いている。しかしコバルトの足元の価格は上がりつつある所を見ると、今後価格上昇に転じる可能性はある。

 

 脇道に逸れるが、鉄のスクラップの需給・発生サイクルの硬直化が著しい上に改善見通しが無い点は大いに業界の景気を冷え込ませている。
高炉の閉鎖なども相まって、全体的な需要低下は鉄界隈のみならずそれに連なる非鉄金属、レアメタルといった業界もその影響を大いに受ける。
鉄業界の需要が伸びない事には、今後の景気の先行きについても不安感は高まるばかりと言えるだろう。
自動車業界についても10月から3月の下期において生産量回復の気配が見える状況であれば、スクラップの供給量は2〜3ヶ月後に増加する見込みだ。
しかしステンレスに関してはメーカー販売分の需要量について大きな変化が無い状況の為、結果としてスクラップ余りの状況が発生する可能性が見られる。


 こういった暗い話題を吹き飛ばす一縷の望みとして根本的な部分として半導体生産量の増加が喫緊の課題である。
現状スクラップを取り扱う業者が耐えきれているうちに、状況の好転材料が揃う事を期待するばかりである。

 

English version of this article:Rare Metal Scrap Market Update 2023#10 Strong Tantalum and Raw Materials for Aircraft | MIRU (iru-miru.com)

 

 

(IRuniverse Ryuji Ichimura)

 

 

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