ロンドン金属取引所(LME)のアルミニウム在庫が膨らんでいる。LMEが6月10日に発表した月次データによると、マレーシアのポートクラン港にあるLMEのListim倉庫では、5月末時点の出荷待ち日数が159日となった。4月の同日数はゼロだった。米ブルームバーグ通信によると、これは同じ倉庫で2021年6月に発生した168日以来の最長記録という。
マレーシア倉庫の出荷待ち日数 5月
マレーシア倉庫の出荷待ち日数 4月
(出所:LMEホームページ)
突然の延滞発生の背後には、カナダの資源大手トラフィグラが5月に持ち込んだ大口の納入が影響したとの見方が広がっている。Oil Price.comや日本経済新聞をはじめ多くのメディアが5月半ばに伝えたところでは、トラフィグラは5月初旬に40万トンのアルミニウムを納入。多くがインド産とみられるという。米英が4月に課したロシア産金属への追加制裁に伴うシステム変更を利用した動きのようだった。
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これによりLMEのアルミ在庫は1日でほぼ倍増。5月末時点では111万6650トンと2021年10月以来の規模に拡大した。
過去5年間のLMEアルミニウム在庫の推移
足元のアルミ価格は世界的な金属価格上昇の波を受けて上昇し、5月29日には現物で$2695/tonと2022年6月以来ほぼ2年ぶりの高値を付けた。ただ、このトラフィグラの大口納入が伝わった直後には価格が急落しており、供給増が改めて意識されれば、価格の下押し要因となりかねない。LMEアルミ価格は6月に入ってからはやや軟調で、6月10日は$2515.5に下げた。
過去3か月間のLMEアルミニウム価格の推移($/ton)
(IR Universe Kure)