
安定生産が可能となった「イットリウム鉄ガーネット」単結晶(試作品)
化学品事業などを展開するカーリット(東京都中央区、金子洋文社長)は19日、連結子会社であるシリコンテクノロジー(長野県佐久市、山口容史社長)が高純度で高品質の磁気光学材料「イットリウム鉄ガーネット(YIG)単結晶」を安定的に生産できる技術を確立したと発表した。シリコン単結晶の育成技術やノウハウを活かし、新たに磁気光学材料分野へ事業参入する方針だ。
YIGは優れた光学特性やマイクロ波特性を持つ原料で、アイソレータやサキュレータなどの通信機器に使用されている。しかし、YIG単結晶は安定生産の技術や高品質維持が難しく、シリコンテクノロジーではFZ法(浮遊帯域溶融法)によるYIG単結晶の育成開発を進めていた。その研究が実り、このほど独自のプロセスで高純度な単結晶を得ることに成功。YIG単結晶の生成からウェーハ(円盤)加工までの一貫した生産プロセスの確立に至った。
シリコンテクノロジーは10月1日付でカーリットに合併する予定。カーリットは単結晶販売のみでなく、単結晶材料の試作開発や、結晶材の溶解受託といったサービス展開を検討している。
(IRuniverse K.Kuribara)