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チタン原料市場市況2025年6月 総じて下落 イルメナイトとフェロチタンが4年半ぶり安値

2025/06/17 17:57
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 2025年6月のチタン原料市場は総じて下落している。鉱石(イルメナイト)とフェロチタン価格が4年半ぶりの安値を付けた。鉄鋼向け需要の減少に加え、需要の6割を占める塗料向け酸化チタン価格が動かず、国際的な鉱石価格に影響が出ている。

 

■鉱石急落、フェロチタンと酸化チタンもさえない

過去3か月間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)

 チタン鉱石は6月12日に仲値$310/tonを付けた。2021年1月以来約4年半ぶりの安値となる。5月22日に$344.5とそれまでの$371.5から急落。6月に入りやや持ち直す場面があったものの下押し圧力が強い。

 FerroAlloyNetは6月13日までの週刊レポートで、「伝統的なオフシーズン入りしたことに加え、川下需要の弱さから鉱石の取引自体が減っている」と指摘。中国国内の鉱石メーカーは在庫処理のため生産を停止している企業も目立っており、ベトナムなどからの輸入分についても「港湾での輸入チタン精鉱のスポットに対する下向きの圧力は明らか」とした。

 

過去3か月間のフェロチタン価格の推移(Ti 70% EU)($/kg Ti)

 原因の1つとみられるのがフェロチタンの値動きだ。6月5日に$5.675/kgに一段安となった。2020年12月以来と、やはりおよそ4年半ぶりの安値水準となる。FerroAlloyNetは「6月に入り中国の製鉄所の大部分がフェロチタンの入札を開始したが、鉄鋼市場の低迷を受けて鉄鋼生産自体を減らしている製鉄所が多く、フェロチタンの調達も減少気味だ」と報告した。

 

 5年スパンで見ると、チタン鉱石とフェロチタンはほぼ同じ経緯をたどっている。

 

過去5年間のチタン鉱石とフェロチタン価格の推移)

 

過去3か月間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)

 酸化チタン価格は2月27日に付けた仲値$2070/tonから横ばいが続いている。やはり最終製品需要が減退している。国際政治の不透明感が強まる中で貿易需要も減り、関係者は様子見姿勢を強めている。

 

■中国の金属チタンのほかは値動きなし

 

過去3か月間の四塩化チタン価格推移(99.99%min EXW China)(Rmb/mt)

 

過去3か月間のルチル価格の推移(95% Ti02 bulk Fob豪州)($/ton)

過去3年間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($/kg)

 

 ほかのチタン原料も動きが乏しい。四塩化チタン、ルチル、航空機向け金属チタンは横ばい。チタンスラグは稼働率が低下している。

 

過去3か月間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg)

 

 唯一、中国の一般産業向けスポンジチタンのみ値上がりした。6月12日に仲値$7037/kgと、2024年7月下旬以来の高値を付けた。ただ、じり高の様相で値上がりに勢いは鈍い。

 

<Topics>

6月12日

 インド西部アーメダバードで6月12日、エア・インディア171便(ボーイング787型)が墜落し、乗員・乗客242人のほか墜落先の以下大学生など約270人が犠牲になった。

 

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6月11日

 半導体材料や銅、レアメタル(希土類)などの金属素材を扱うJX金属の林陽一社長は6月11日米ブルームバーグ通信のインタビューに対し、親子上場関係にある子会社の東邦チタニウムとの資本関係を見直す必要性を認識しており、今後の選択に完全子会社化や完全売却の可能性が含まれることを明らかにした。同通信が同日伝えた。

 

6月3日

 鉱物市場の国際調査会社であるProject Blueは6月3日、大手町プレイス(東京・千代田)で国際会議「Critical Materials Forum」を開催した。チタン関連の講演もあった。

 

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5月22日

 日本チタン協会は5月22日、如水会館(東京・千代田)で2025年度通常総会および講演会、懇親会を開催した。

 

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5月15日

 大阪チタニウムテクノロジーズは5月15日、2025年3月期決算を発表した。

 

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5月12-16日

 5/12~16日に米サンディエゴで開催されたReMA2025では、チタン関連のリサイクル企業の参加もあった。

 

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(IR Universe Kure)

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