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金銀価格が明暗 NY銀37ドル乗せ、金は続落 中東不穏で割安な安全資産探し

2025/06/18 13:57
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 金と銀の国際価格に明暗が出ている。6月17日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で銀価格は一時$37.151/tozと節目の$37に乗せ、2011年9月以来およそ13年9か月ぶりの高値を付けた。一方で同じく金は6月17日まで続落。中東情勢の不穏化で安全資産を探す動きが強まる中、金に比べ出遅れ感のある銀に資金が向かっている。

 

■新たな危機には銀が反応

過去6か月間のNY金価格と銀価格の推移

 

 金は6月13日に過去最高値($3452/toz)を付け、今週は調整している。NYの金価格と銀価格は年初から6月17日までの上昇率はどちらも約27%と同程度。ただ、6月に入ってからでは金が2.7%値上がりしたのに対し銀の上昇率は12%と大きく、イスラエルのイラン空爆に伴い新たに強まった中東の危機に対しては、銀の反応が大きかった。

 

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■金には下落予想も、銀は40ドル超えあり得るか

 金は資源の有限性や地政学的リスクの上昇に伴う安全資産買い、米ドルの代替としての外貨準備需要など価格押し上げ要因が多く、中長期的な上昇を見込む声がなお多い。住友商事グローバルリサーチの本間隆行経済部担当部長・チーフエコノミストは5月下旬、IR Universeの取材巣に対し「安全資産の選択肢に上がるのは、やはり米ドルか金になりやすい」と話した。

 ただ、最近は過熱感に警鐘を鳴らす動きも出ている。ロイター通信は6月17日、「米シティバンクが6月16日のノートで、金の0-3か月の目標価格をそれまでの$3500から$3000に下方修正した」と伝えた。6-12月の目標価格もこれまでの$3000から$2800に下方修正したという。地政学的リスクが低下し、米国の関税政策も弱気に戻るため、安全資産としての金の投資需要は減退するとの見立てだ。特に2026年の米中間選挙に向けた米政策の変更が焦点になってくるという。ただ、シティも強気シナリオとしては、金価格は2025年7-9月期に$3500を超える可能性があるとも予想した。

 

 一方、シティは銀については今後6-12月に$40と予想。強気シナリオでは7-9月期に$46を達成すると見ていると伝わる。

 銀の場合は工業向け需要が強いため、基本的には地政学的リスクの高まりよりも景気回復が価格押し上げ要因となる。シティは米国などの関税政策の後退と米金融政策で世界景気が回復することが貢献するとの見方を示したという。

 

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(IR Universe Kure)

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