ウッドペレット(左)とPKS
ヤシの実からパーム核を取り出した後に残るPKS(Palm Kernel Shell)。以前は廃棄物として扱われていたが、発熱量が高く、かつ含水率が低いことから現在はバイオマス燃料として活用されている。PKS輸入取扱量国内トップを誇る阪和興業のエネルギー第二部新エネルギー課の岡村俊男主任にショートインタビューを実施した。

インタビューに応じてくれた岡村主任
――いつ頃からPKSを含むバイオマス燃料事業に着手したか
当社は2011年ごろからバイオマス事業に取り組んできた。その後、12年7月に再生可能エネルギー由来の電力を政府設定価格で購入することを義務付けるFIT制度(固定価格買取制度)が開始されたのを契機として、国内でのバイオマス燃料の取扱いが増加。当社としても少しずつシェアを伸ばしてきた。
発電事業に関連するプロジェクトファイナンスが増加傾向にあったことや、仕入れ価格を安定させる目的で、長期契約を結ぼうとする発電事業者が増えたため、当社は2019年に専用バイオマスエネルギー輸送船の長期傭船契約を開始。現在では合計3隻の船を自社オペレーションで運用している。PKSとウッドペレットを併せた25年度の全体取扱量は前年比16%増の250万トンで、うちPKSは前年比21%増の140万トンを予想している。

阪和専用船(AOI)
――そのほかの貴社バイオマス燃料事業の特徴は
ウッドペレットとPKSを組み合わせて供給量を安定化させている点が挙げられる。大手商社はPKSを取り扱っていないことも多く両方を取り扱っているのは少数派だと認識している。マーケットの状況や気候変動などに合わせて、ウッドペレットの生産量がタイトな時はPKSの配分を増やすことで安定的な長期供給を実現している。
また、それに関連して、山口県にPKS、韓国にウッドペレットの在庫拠点を保有しており、緊急時に供給を持続できる体制を整えている。顧客から要望があれば山口県から内航船を出すこともある。それぞれの相場変動に対応できるのも両アイテムを取り扱うメリットの一つ。
――相場状況は
PKSは足元では上昇傾向にある。昨年夏季までは安価であったが、冬季は例年、インドネシアなどの輸入元で降水量が増えることもあり、FOBインドネシアが100~105ドル/トン。ただし特別高いとも言えない状況。ロシアのウクライナ侵攻開始時やコロナ禍の際は140ドル/トン近くまで上がったこともある。
ウッドペレットは現在、FOBで約150ドル/トン。2~3年前は120~130ドル/トンで推移していたが、足元は若干高止まりしている。昨年1、2月はベトナムからの仕入れが集中していたこともあり、現在よりもさらに高値の状況にあった。なかなか日本にモノが入ってこず、発電事業者で燃料切れ間際に至ったケースもあったと聞いている。
――今後の輸入取扱量はどう変化するか
ウッドペレットの国内全体の輸入取扱量は2024年が約650万トン、2025年が約900万トンで、今年は新規発電所の運転開始が相次ぎ約1100万トンに達する見込み。一方、PKSは2024年が約600万トン、2025年が約700万トンで、新規運転開始に加えスポット価格が安かったことが増加要因。今年も同水準で推移する見込み。
融資を行う銀行の立場からみると、PKSはあくまでも副産物であり、生産量が安定しないというデメリットがある。プロジェクトファイナンスとしても副産物のPKSよりも目的生産物であるウッドペレットの方が好ましいと判断されるため、発電所もウッドペレットを求めがちだと認識している。FIT関連以外の需要でいえば、石炭を使用している一般産業の顧客が燃料転換の目的でPKSを採用することもあり得るかもしれない。
(IRuniverse K.Kuribara)