鉄、非鉄、プラスチックのリサイクル業界の2025年はどういう年だったのだろうか?「再生材」がひときわ注目されるなかで、一方、国内は慢性的な発生不足に悩まされた。結論から先に言えば、リサイクル業界でも「選別」が行われ、M&Aがより活発化し、再編統合が進むとみる。今回は鉄スクラップにフォーカスした。
2025年のスクラップ・リサイクル業界は「脱炭素(GX)への本格移行」と「相場の上昇」「慢性的な発生不足」にさいなまれた1年だったといえよう。概ね、扱い量は前年比で2割~3割ダウンとなった業者が目立った。
2025年の主要動向:グリーン需要の本格化
2025年は、単なる「廃棄物処理」から、製造業の「戦略的原料供給」へと業界の立ち位置が明確に変化した。
鉄スクラップ: 鉄鋼大手の「高炉から電炉へのシフト(脱炭素のため)」により、国内需要が底堅く推移している。高品質なスクラップの奪い合いが始まっており、価格の下支え要因となっている。しかし一方で電炉メーカーがメインバイヤーである解体くずは解体物件の減少および電炉じたいの減産もありふるわなかった。H2は為替の円安に支えられた(輸出向け)側面が強い。
為替が145円まで円高が進むと鉄スクラップも下がると予想されるが、欧州の輸出規制を背景に世界全体で需給はタイト化することが予想され、意外に鉄スクラップは底堅く推移する可能性もある。
関東鉄源、中部鉄源のスクラップ輸出価格も堅調に推移し、12月は年初来高値をマークした。
https://www.iru-miru.com/article/79537

(ここ1年の関東鉄源H2輸出テンダーと中部鉄源の新断テンダー価格の推移)
1. 2026年の相場予測:強含みの展開
世界全体では、鉄スクラップの需要が供給を上回り、価格は上昇傾向(強含み)で推移すると予測されている。
グローバル価格の予測: 欧州の分析機関(GMK Center等)によると、世界的な指標となるトルコ着(CFR Turkey)価格は、$420〜$440/トン程度まで上昇する可能性があるとされている。

(この1年の鉄鉱石国際価格の推移)

(この1年のトルコ&ベトナムの鉄スクラップ輸入価格の推移)

(この1年の国内H2市中実勢相場と為替相場(円ドル)の推移)
上昇の要因
EUの輸出規制: 2026年から欧州でのスクラップ輸出規制が本格化し、域外への供給が絞られます。これにより世界のスクラップ流通量が減少し、価格を押し上げる。
中国の減産緩和とインフラ需要: 中国が不動産・建設セクターへの支援を強化し、鉄鋼生産が回復すれば、アジア圏の相場を強力に支えることになる、といわれているが、中国の実態経済がさらに悪化する可能性のほうが高いか。そのぶん、アジア太平洋地域での鉄鋼生産は堅調とみる。
2. 日本国内への影響:電炉シフトが下支え
国内相場は、海外相場の影響を受けつつも、独自の「国内需要」によって高止まりする見通しです。
高炉メーカーのスクラップ利用増: 日本製鉄などの大手高炉メーカーが、CO2削減のために「スクラップの配合比率」を引き上げている。2026年はさらにこの動きが加速し、これまで輸出に回っていた分を国内メーカーが買い取る動きが強まるかもしれない。
価格水準の目安: H2(国内鉄スクラップの標準グレード)価格は、海外相場との連動性を保ちつつも、4万円〜5万円台後半の間で底堅く推移すると見られる。
3. 注意すべき3つの「変動リスク」
2026年の相場を急変させる可能性がある要因として、以下の3点に注視が必要です。
鉄鉱石価格の下落: スクラップのライバルである「鉄鉱石」の価格が、供給過剰により下落した場合、メーカーがスクラップから鉄鉱石(高炉)へシフトし、スクラップ価格が連れ安となる可能性がある。
炭素国境調整措置(CBAM)の本格導入: 2026年からEUでCBAMの支払いが段階的に始まります。これにより、低炭素な「スクラップ原料の鋼材」の価値がさらに高まり、プレミアム価格がつく可能性がある。
地政学リスク: ウクライナ情勢や中東情勢の変化により、エネルギー価格や海上運賃が変動すれば、輸出入のコスト構造が変わり、相場に反映される。

(IRUNIVERSE YT)