RSTechnologiesの25年12月期は29.6%増収8.9%営利増と連続最高益を更新した 。TSMC等の旺盛な需要により、26年12月期も9.5%増収7.8%営業増益予想と最高益更新が続く見通しも、上振れ期待がある 。また注力のバナジウムレドックスフロー電池用電解液事業は、中国での生産体制構築により高品質・低コストな供給を実現し、早期の売上拡大を目指す 。新中計では28年12月期に売上高1150億円、経常利益200億円目標を掲げ、更なる成長を追求する方針で評価はポジティブ継続とする 。
25/12期29.6%増収8.9営利増と連続最高収益更新、26/12期以降も収益拡大期待
株価4340円(3/2) 時価総額1153億円 発行済株26,562千株
PER(26/12DO予想10.3X)PBR(1.44X)配当26/12DO予63円 配当利回り1.3%
要約

25/12期29.6%増収8.9営利増6.2%経常増と売上増額、利益計画並み連続最高益更新
25/12期業績は、売上高767億円(会社計画比17億円増額、29.6%増)、営業利益142.81億円(同8.19億円未達、8.9%増)、経常利益166.35億円(同0.35億円増額、6.2%増)、税引利益92.97億円(同5.37億円増額、1.6%減)となった。売上で多少上振れも、ほぼ会社想定での着地となり、営業利益、経常利益で2期連続最高益更新となった。なお税引利益は特別利益の負の暖簾償却がなくなった事で微減益となった。

事業別では再生ウエハ事業が売上高275.29億円(15.7%増)、営業利益101.67億円(12.2%増)。内訳は再生加工賃収入181.05億円(14.0%増)、販売ウエハ94.23億円(19.1%増)。販売ウエハにおいて新規受注先獲得もあり伸び率が高まり、生産能力増強効果がフルに寄与した。全体の90%を占めるとみられる12インチにおいて、幅広い出荷先を確保している。なお最大手出荷国として台湾向けが全体の55.0%と24/12期の48.0%比7ポイントアップ、最大ユーザーのTSMCの生産拡大が大きく寄与していると見られる。

現在、三本木工場、台湾子会社の工場とも半導体新工場からの需要を取り込み、設備増強を行っている中でフル生産が続いている。

利益面では営業利益率36.9%と24/12期比1.2ポイント下落しているものの、MIX変化によるものとみられ、36.9%と高水準を維持している。ちなみにEBITDA比率では0.9ポイントの下落で45.3%となっている。
プライムウエハ事業は売上高187.78億円(1.1%減)、営利41.59億円(12.3%減)となった。全体の70%を占めるプライムウエハ事業は主力の8インチパワーデバイス向けに中国国内のEpiハウスや半導体メーカーの販売、全体はレガシー半導体の不振はあるものの、Epiへの影響は小さかったとみられ売上を確保した模様。一方、残り30%を占めるシリコン部材(エッチング装置の消耗部材)についてはユーザー在庫調整の影響もあり、減収となった模様。なお、DGテクノロジー向け内部売上を含むでは売上高が208.93億円(2.2%増)となっており、内部売上が21.15億円(45.1%増)と急拡大している。これはDGテクノロジーズを通じて東京エレクトロン向けのエッチング部材の供給が増加しているためとみられ、実質的には中国ローカル向けの減少を補っていると見られる。


利益面では市況が軟調ながら、プライムウエハは約70%が膜付け加工を行うEpiハウス向けで、定格電圧10V~1000V対応のウエハが多く、ニッチな分野で強みを持つため収益性を確保している模様。実際、24/12比5ポイントEpiハウス向けが高まっており、出荷枚数も増加している。一方、半導体部材は外部売上が減収影響などで収益性が悪化したとみられるものの、内部売上が大幅増となっており全体では出荷数量が増加し、稼働率は保たれたとみられ、大きな利益率悪化とはなっていないとみられる。なおプライムシリコンウエハ製造販売事業全体では営業利益率が前期比2.9ポイント悪化し22.1%となっているが、同分野は設備投資額が33.39億円(38.3%増)と増設投資が高水準で、EBITDAでは61.98億円(5.9%減)、EBITDA比率では1.7ポイントの悪化にとどまり33.0%と高水準を保っている。
半導体設備部材その他事業は売上高304.69億円(87.1%増)、営利16.24億円(83.7%増)となった。25/12期より新規事業である光ピックアップ・車載カメラモジュールを製造販売するRSPDHの売上が加わったこと、またRSPDHが期初計画売上高100億円を上回る結果となり、大幅増収増益となった。なおDGテクノロジーは収益開示がないものの、プライムウエハ事業の内部売上が大幅増となっており、東京エレクトロン向けエッチング部材売上なども増加したとみられる。また話題のレドックスフロー電解液事業の寄与はまだ利益貢献していない模様で、利益面でもRSPDHの寄与が大きかったとみられる。

26/12期9.5%増収7.8%営利増3.4%経常増予想と最高益更新続く見通しで増額も
同社は新中計を毎年見直しているが、今年度は28/12期に売上高1150億円、営業利益190億円、経常利益200億円を目標として打ち出した。なお前年度は27/12期に売上高1000億円、営業利益219億円、経常利益234億円予想としており、今回の27/12期予想が売上高1050億円、営業利益175億円、経常利益190億円予想に対して、売上目標は上振れも、利益面では多少減額予想となっている。なお、2027年以降は新規M&Aを含めた予想。

26/12期については売上高840億円(9.5%増)、営業利益154億円(7.8%増)、経常利益172億円(3.4%増)、税引利益100億円(7.6%増)予想と、伸び率鈍化ながら3期連続売上高、営業利益、経常利益最高額更新、税引利益も24/12期を抜いて最高益更新予想とした。セグメント別の予想開示はないが、再生ウエハについてはTSMCの収益拡大テンポが先端半導体向けでさらに加速する方向にある。またHBMの拡大に加え、推論型データセンタ需要の本格拡大で、DDR-5、DDR-6,新世代DDR-7に急激な品不足が生じるなどで、新設設備稼働に伴い、さらなる再生ウエハの伸びが期待される。
プライムウエハ関連では、8インチウエハはEVの伸び率鈍化でパワー半導体の伸びが抑制される一方で、推論型AIデータセンタの設備投資本格拡大でAIデータセンタ向けのパワー半導体需要が急拡大しつつある。結果として単価ダウンがあっても数量効果が見込まれ、緩やかな収益拡大が見込まれる。加えて同事業の3割程度を占める半導体部材は、メモリー需要の拡大からエッチング装置需要の本格回復から中国向け、加えてDGテクノロジー向けの内部売上増加が見込まれる。また稼働率アップに伴う消耗品需要の拡大も加わり、前期比較では大きく伸びが期待される。
この他、半導体設備部材その他事業は、RSPDHが売上高100億円超を維持すると見ている他、DGテクノロジーは東京エレクトロン宮城向けにエッチング装置部材が伸長するとみられる。電解液事業についても金額は小さいものの大きな伸びとなろう。
全体として、半導体生産が過去最高を更新する中で、26/12期会社予想は上期より上振れが期待され、26/12期は売上だけでなく営業利益でも上振れが期待され、円安も加わり、利益の上振れ幅が高まろう。
新中計で28/12期売上高1150億円、営利190億円、経常200億円達成目指す
中計の27/12期以降についてセグメント予想の開示はないが、売上の減額は前年公表していた新規事業の立ち上げ時期が若干後ろ倒しとなったことを反映しているとのこと。また利益については成長に向けた先行投資のフェーズにあるとして、先行投資費用増加が主因とした。
主力セグメント別ではウエハ再生事業について高収益体質の確立、プライムウエハ事業は中国での12インチウエハ投資を本格化させる計画。昨年度の計画比では中国向けは20万枚から5万枚に減額も、台湾で5万枚、日本についても3万枚増額している。さらに2028年度には台湾でさらに15万枚、日本でも5万枚を増産する計画。増産にあたっては日本の三本木工場で第7工場の再開を行う。2028年までに第8工場を月産35万枚、第7工場を再稼働させ月産17万枚まで拡張する。台湾では台南第2工場取得により20万枚の増産を図るが、2030年には月産30万枚を構築予定である。台湾については最大手ユーザーのTSMCの先端半導体設備増強に伴う能力増強とみられる。国内についてもTSMCの熊本第2工場、マイクロンのDRAM投資、キオクシアも超高多層NANDフラッシュメモリ投資等、ラピダスも大幅な資金調達を決め、先端半導体設備増強に対応したものとみられる。


プライムウエハ事業については、8インチにおいて2026年月産30万枚体制を確立したあと、生産効率の改善などを進める。現在、パワー半導体需要についてEV普及の状況やデータセンタ需要の拡大などを勘案、当面2028年まで緩やかな需要増を見込むが、2027年以降は需要動向を見極めて判断するとした。12インチは当面需要動向を勘案するが、需要は急拡大の方向にあり、2030年に需要枚数が月産400万枚まで拡大する見通しの中で、28年中に本格参入を計画している。


半導体関連装置・部材等事業については、DGテクノロジーについては東京エレクトロン宮城向けにエッチング装置のセラミックス部材などの拡大を目指す。現状、東京エレクトロンは2026年のけん引役が人工知能(AI)サーバー向けで需要が急増するメモリー半導体と判断、「長期的なスーパーサイクル(需要の急拡大期)に入る可能性もある」としており、DRAM配線工程のエッチング装置の売上高を30年までに累計5000億円以上にする目標を掲げている。このような環境を捉え、エッチング部材の大幅な拡大を見込む。
一方、中長期の展望として注力するのがバナジウムレドックス2次電池用電解液事業。子会社のLEシステムは国内においては経済産業省が決定した「GX2040年ビジョン」達成に向け同電池の社会実装に向けた取り組みを継続する。また主戦場となるとみられる中国市場においては関係孫会社RSエナジーを設立。パートナー企業との合弁で中国国内に電解液のマザープラントとして中国のバナジウム産地である四川省に攀枝花(はんしか)工場を建設する。同社の強みは単なる「安売り」ではなく、不純物を極限まで抑えた高品質な電解液となっており、電池スタックの長寿命化に直結する。そして今回の中国での生産のポイントは、「電池の劣化を防ぐ高品質な電解液を、中国国内の量産コストで提供できること」にある。中国のバナジウム新規設備規模は2025年に4179MWh、容量は前年比2.4倍と急増している。ちなみに中国においてはVRFB用電解液の公示入札実績が2021年より実施されているが、2025年には設備累計で6000MWhを超える規模となったとみられる。中国の全バナジウムフロー電池の累計導入容量は2030年までに2024年の5.4倍に相当する27GWに達するとの予測もある。2030年には中国における新型蓄電システムの10~15%まで構成比が高まるとみられており、今後も急拡大が続く見通し。前期はスペインの蓄電所向けに8.5MWhを出荷し、3.3億円程度の売上、25/12期現在で売上規模は10億円程度とみられるが、同社は高効率の製造システムを武器に市場シェア拡大を図り、早期に100億円近くまで拡大を狙うとみられる。

光学ピックアップモジュールの製造・販売を行う艾索精密部件(惠州)有限公(RSPDH)については、既存事業の光ピックアップモジュールが前期は前倒し生産の実施で計画に対し上振れた。26/12期も100億円を超える売上規模を確保する見通しに加え、車載カメラモジュール事業を立上げ、更なる事業拡大を目指す。カメラモジュールはCMOSイメージセンサを最大手のソニーから供給を受け、中国ローカル車載カメラメーカーへの販売を行うとしている。また日系や米国、韓国などのメーカーへも拡大、さらに車載以外にドローンなどへも販売を拡大するとみられる。

全体を通じ、26/12期は最大手ユーザーのTSMCの積極的な設備投資、先端デバイスの投入拡大で再生ウエハ需要のニーズがさらに高まるとみられ、能力増強とともに収益拡大が高まると見られる。さらに27/12期は半導体生産の拡大に拍車がかかる時期となる見通しで、27/12期についても今回の中計予想を上回ってこよう。
下表では過去の中計計画と、実際の達成数字との比較一覧を乗せたが、中計予想は総じて控えめな数字となっている。特に世界経済が紛争激化で大混乱をきたさない前提で、同社収益は今後も最高益更新を続け、中計予想を上振れて拡大が期待される。

株価は業績堅調ながら、プライムウエハメーカーSUMCOなどの300mmウエハの伸び悩み、同社も中国でのプライムウエハの下振れイメージ等があったためか、業績が堅調な割に冴えない動きで終始してきた。ただし、25/12期本決算で連続最高益更新、26/12期も収益拡大見通しとなってことで、株価が多少動意づいてきた。現在、26/12期会社予想EPS189.09円に対し、PER11.5倍はプライム化学平均PER19.3倍に対し割安であり、信越化学(4063)の25.3倍、フェローテック(6890)18.9倍、SUMCO(3436)は損失懸念もあり、同社株価は割安感がある。また26/12期会社予想は収益全てで記録更新予想であり、しかもTSMCが最大ユーザーであることや、東京エレクトロンなどが半導体製造装置用部材などで伸長が見込めるなどで収益の上振れが期待される。このため、改めて評価が高まるとみられ、ポジティブ継続と評価したい。なおグループ上場企業持分の時価総額を加えると企業評価価値は実質的にPBR1倍割れの状況で、下値不安も小さいとみられる。
(図表は決算説明会資料より抜粋して掲載)



*信越化学(4063)、SUMCO(3436)、フェローテック(6890)との比較
