中東情勢による原油高を背景に、緊急燃油サーチャージが導入され、海上輸送コスト上昇が市況を押し上げる要因となっている。船社は貨物品目を問わず定額料金(FAK)引き上げを進めており、今後も上昇圧力が見込まれる。東アジア発の北米西岸と北欧州向けの運賃も上昇中だ。
現下のコンテナ運賃動向をノルウェーのゼネタ(Xeneta)社のコンテナ運賃情報「Xeneta Shipping Index by Compass」(XSI―C)https://xsi.xeneta.com/ (40フィート・コンテナのスポット運賃で各種サーチャージを含む)で見てきているが、下図のように太平洋と北欧州航路のどちらも2月28日の米イスラエルによるイラン攻撃開始以降上昇傾向にある。
(単位:米ドル)
航 路 | 6月27日 | 7月30日 | 8月29日 | 9月26日 | 10月24日 | 11月25日 | 12月19日 | 1月28日 | 2月23日 | 3月27日 |
東アジア/ 北米西海岸 | 3,122 | 2,172 | 1,776 | 1,772 | 2,068 | 1,955 | 2,134 | 2,260 | 1,842 | 2,329 |
| 北米西海岸/東アジア | 641 | 637 | 655 | 679 | 662 | 639 | 637 | 616 | 618 | 590 |
東アジア/ 北ヨーロッパ | 2,872 | 3,399 | 2,755 | 1,836 | 1,942 | 2,317 | 2,528 | 2,643 | 2,181 | 2,767 |
| 北ヨーロッパ/東アジア | 276 | 234 | 179 | 180 | 151 | 136 | 137 | 158 | 140 | 187 |
他のコンテナ運賃指標で東アジア発米国西岸向け運賃(40フィート)を見てみると、Drewryでは前週比4%増の2,686ドル(3月26日付)、Freightos Baltic Index では前週比4%増の2,184ドル(3月27日付)とそれぞれ増加傾向が続いている。
日本発の運賃はどうか?
(公財)日本海事センターが公表している日本発の運賃(40フィート)は、下図のように3月からの下落が5月に入っても続いていたが、6月から急上昇し、7月に入っては急落し,8月は上昇、9・10月と下落の後、11月に上昇し、12月からは減少傾向。3月はおそらく上昇になるであろう。
(単位:米ドル/40ft)
航 路 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
| 横浜―ロスアンジェルス | 4,525 | 3,718 | 3,627 | 5,941 | 3,863 | 4,045 | 3,980 | 3,411 | 3,677 | 3,664 | 3,543 | 3,465 |
| 横浜―ニューヨーク | 5,357 | 4,662 | 4,570 | 8,347 | 6,648 | 6,359 | 6,200 | 5,411 | 5,547 | 5,471 | 5,225 | 5,166 |
日本・アジア/米国間コンテナ貨物の荷動き(TEU: 20フィート換算)―ベトナムが元気
(公財)日本海事センターが3月24日公表の2026年2月のアジア(18ヶ国・地域)から米国へのコンテナ荷動き量は、前年比4.6%減の166.7万TEU。1-2月の累計では、前年同期比6.5%減の350.6万TEUだった。
国別では、日本は0.6%減となる4.5万TEU、中国は13.2%減となる85万TEU、韓国は11.9%減となる8.8万TEU、台湾は9.4%減となる4.7万TEU、ベトナムは16.9%増となる28.3万TEU、インドは16%減となる8.4万TEUで、だ依然としてベトナムの元気さが窺える。
地域別では、ASEANは18.9%増となる52.1万TEU、南アジアは12.6%減となる11.2万TEU
アジア域内スポット運賃、上昇中
ドゥルーリー(Drewry)が2024年9月から新たに始めたアジア域内スポット運賃指数(Intra-Asia Container Index)は、域内のスポット・コンテナ運賃を加重平均したものだが、安定を維持し、3月の第4週にさらに5%上昇し、40フィートコンテナ1個あたり676ドルに達した。
日本発着については、上海―横浜は過去3週間で変わらずの780ドル、横浜―上海も変わらずの115ドルだった。
この上昇原因は、ホルムズ海峡閉鎖による南アジア・東南アジアの主要ハブ港での混雑によるものかと推察されるが、現在は港湾混雑より燃料供給の逼迫が注目点となっているようだ。
中東情勢でコスト増
2026年は新造船流入による供給圧力がなお続くなか、足元では中東情勢の緊迫が燃料や配船、内陸輸送、保険にまで影響が及んでいる。各社は航路を問わず緊急燃料サーチャージを設定するなど、内陸輸送を含め増加分のコストを荷主に転嫁するようで、よって26年は運航コストの増加が避けられない情勢のようだ。荷動きもエネルギー供給の不安定化を考慮するとそう大幅な増加は考えにくい。
中東情勢がもたらす地政学的な不透明感の高まりを海運各社も警戒しており、それが海運ネットワークの混乱と運航コストの急上昇を招いていると説明している。
(IRuniverse H.Nagai)
世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。