環境対策と国内資源循環の両立などを目指して改正作業が進んでいた廃棄物処理法の改正法案が10日閣議決定され、今国会に提出される見通しとなった。スクラップの保管や再生事業を都道府県知事による許可制とし、その拠点になるスクラップヤードの不適切な管理には事業停止処分や罰金を科す。改正法案は、公布の日から2年6カ月以内に施行される。成立すれば、一部自治体の条例ベースで先行していた規律付けの枠組みが全国一律の法令として動き出すことになる。改正法案の詳細を改めて点検してみた。
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改正法案は「スクラップヤードへの規制強化」と、「災害廃棄物の処理の推進」がその2本柱になる。
金属スクラップ業界と密接に関係する「スクラップヤードへの規制強化」の目玉は、都道府県知事による許可制の導入。その不適正管理が誘発する騒音、水質汚濁、火災などにより、周辺地域の生活環境に支障が生じる事態を防止するため、入り口規制を採用した。先行する一部自治体の条例が一定の実績を上げているため、制度設計の基本にその発想を据えた形だ。

不適正なスクラップヤードを経由した金属資源などの海外流出も指摘されているとして、環境汚染の恐れのある物品の輸出に際にして、環境相による確認の仕組みも導入している。廃棄物の国境をまたぐ移動を規律付けるバーゼル条約の枠組みが強化されており、国際秩序との整合性も一層の強化が求められている。

また、許可制の導入に合わせ、2017年の改正で導入した「有害使用済機器(家電4品目、小型家電28品目)保管等届出制度」は廃止する方向を打ち出している。

規制対象になる物品については、法律案要綱で、その法の目的に、要適正保管使用済金属・プラスチック物品と、要適正再生使用済金属・プラスチック物品を追加し、規律付けの枠組みを整備している。
使用済金属・プラスチック物品:
使用を終了し、収集された物品で、その全部又は一部が金属又はプラスチックから成るもの
・要適正保管使用済金属・プラスチック物品:
使用済金属・プラスチック物品であって、適正でない保管が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な保管と生活環境の保全上同等の保管を要するもの
・要適正再生使用済金属・プラスチック物品:
使用済金属・プラスチック物品であって、適正でない再生及び当該再生のために行う保管が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な再生及び保管と生活環境の保全上同等の再生及び当該再生のために行う保管を要するもの
スクラップヤードの適切な管理に求められる保管・再生基準については、細部の詰めを残しているが、保管物の高さ制限、飛散・流出の防止措置、分別・保管措置、地下浸透の防止措置など、多面的に基準が整備される方向である。

違反した許可事業者には、都道府県知事による事業停止命令などで対処するほか、罰則については法人に対し最大3億円の罰金を科すとしている。なお未遂行為も罰則対象に含まれる。

なお、許可制の導入に合わせ、既存の廃棄物処理業者、廃棄物処理施設の設置者、各種リサイクル法等の許認可事業者、委託事業者については、一定の要件の下で許可を受けたものとみなす「許可みなし」制も設けられている。

(IRuniverse G・Mochizuki)