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中国の港湾におけるパナマ籍船の拘留件数は、3月中に100件近くに急増

2026/04/15 14:44
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中国の港湾におけるパナマ籍船の拘留件数は、3月中に100件近くに急増

3月末時点、中国の港湾では、パナマ船籍船舶に対する安全検査がさらに強化された結果、拘留が3月中にほぼ100件近くに達する可能性。この急増は、香港の財閥CKハチソン傘下のパナマ・ポーツ・カンパニー(PPC)とパナマ共和国との間の港湾運営権をめぐる争いの激化と時を同じくしている。CKハチソンのパナマ港湾事業を巡る外交的対立が深まる中、この中国当局による取り締まりは収まる兆しを見せていない。

 

ポートステートコントロール(PSC、寄港国検査)を盾にした中国海事当局によるパナマ籍船の拘留が急増している。CKハチソンが運営していたパナマの複数のターミナルを、パナマが管理下に置いたことに対する中国の報復措置とされる。その直後、パナマ政府はデンマークの海運会社マースク(Maersk)とスイス船社MSCにターミナル運営権を一時的に譲渡し、中国国営の海運会社コスコは10日、バルボア港でのコンテナ海運サービスを全面的に中止した。

 

PSCとは

PSC(寄港国検査)は、国際条約で寄港国政府職員が実施することが認められている入港外国船舶に対する立ち入り検査を指す。船舶の構造や安全設備、船員の資格や労働環境などが国際条約に適合しているかを確認する制度。立ち入り検査で国際条約で定められた要件を満たさない重大な不具合が認められ、安全や環境、船員の労働安全衛生に重大な危険があると判断された場合、船舶の出航が差し止め(拘留)される。

 

米国も強く非難

マルコ・ルビオ米国務長官は4月2日に声明を発表し、中国による拘留を経済的威圧と強く非難し、「パナマの裁判所の判決を受けて中国が行ったパナマ籍船の拘留は、パナマにおける法の支配を損なう動きで、深刻な懸念を引き起こしている。」と述べた。更に、「経済的手段を用いて法の支配を揺るがそうとするもので、深刻な懸念を抱いている。船舶の拘留や移動の妨害はグローバルサプライチェーンの安定を損ない、企業のコスト増や消費者の負担増を招き、国際貿易システムへの信頼を失墜させる」と非難した。

 

アジア太平洋地域の地域PSC協力組織である東京MOU(本部:東京)によると、2月に中国で拘留された船舶は45隻で、このうち19隻がパナマ籍だった。3月に拘留された船は124隻に急増し、このうちパナマ籍が92隻を占めた。4月に入っても12日までに37隻のパナマ籍船が拘留された。

 

3月26日には、米国発着のコンテナ輸送を中心とした海上商業活動を担当・監督している米連邦海事委員会(FMC)も、ローラ・ディベラ委員長声明を発表し、「パナマ運河のターミナルをめぐる最近の動向や、中国によるパナマへの報復措置が、世界の海運情勢にどのような影響を及ぼしているかを注視している。」との認識を示した。

 

拘留増大までの経緯

パナマ最高裁は1月30日、パナマ運河の太平洋側のバルボア港と大西洋側のクリストバル港の両ターミナルを運営するハチソンの権利を無効とする判決を下した。これを受けて、パナマ政府が接収。デンマーク船社マースク傘下のAPMターミナルズをバルボア港、スイス船社MSC傘下のターミナル・インベストメント・リミテッドをクリストバル港のそれぞれ暫定運営者に指名した。

 

ハチソンは同判決を不服とし、3月24日に20億ドル以上の損害賠償を求める国際仲裁を提起。これに関連して、中国国営の海運大手COSCOはバルボアでのサービスを停止した模様だ。

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

 

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