豪州資源企業South32 Limitedは4月30日、米国アリゾナ州南部のHermosa亜鉛・銀プロジェクトでの最初の開発案件であるTaylor鉱床に関する最新情報を提供した。“Taylorが亜鉛、銀、鉛の大規模かつ長期にわたり低コストで生産を行う事業として、魅力的なリターンを生み出す可能性が再確認された”と述べられたものの、内容を見ると、開発コストの大幅な引き上げおよび生産時期の延期なども明かされており、株価は急落。市場に衝撃が走ったようだ。
まず、同プロジェクトの第1段階の資本コスト(成長資本支出)は、今回、約33億米ドルへと大幅に上方修正された。豪州現地メディアによれば、2024年の実現可能性調査で示されていた見積もりは22億米ドルであったというから、50%の急増である。さらに、数年前にプロジェクトが承認された際に提示された費用は17億米ドルであったということで、この数字からはほぼ2倍である。
同社は今回のコスト上方修正の要因として、“傾斜坑道の追加に伴う範囲変更、シャフト建設コストの修正、大幅なインフレ、鉄鋼、配管、コンクリート、電気設備など主要投入コストの業界全体での上昇、および米国の関税”を挙げている。なお、今回発表された約33億米ドルのうち、約21億米ドルは2026年度第4四半期から2028年度下半期にかけて支出される予定であるという。
続いて、建設などの遅れにより、同鉱区からの最初の採掘は2028年度半ば予定へと、そして初生産は2028年度下半期予定へと変更された。こちらも、現地メディアによれば、当初の計画より一年の遅延だという。また、シャフトからの初生産は、シャフト完成時期の最近の修正を反映し、2029年度上半期に予定されることとなり、全体としてのフル稼働は2031年度(従来の計画では2030年度であった)となる見込みであるという。
ただし同時に、鉱石埋蔵量および鉱物資源量の推定値の上方修正など、ポジティブな最新情報も複数報告されている。インフィル掘削の成功を受け、Taylor鉱区の鉱石埋蔵量は52パーセント増加し9900万トンに、また、鉱物資源量も10パーセント増加し、1億6900万トンになったとのこと。さらに、隣接するPeake鉱物資源量も32パーセント増加し、3,300万トンに達したと述べられている。
マイニング・ドット・コム紙(4月30日)には、「規模、鉱山寿命、資源量の確実性は向上したものの、設備投資の約50パーセント増、約1年の遅延、そしてコスト増によって、そのメリットは相殺されている」という、アナリストの懐疑的な意見も掲載されている。