エンビプロ・ホールディングスが5月14日に発表した2026年6月期第3四半期累計(2025年7月1日~2026年3月31日)の連結決算は、売上高が前年同期比で減少した一方で、各段階利益は大幅に伸長し、非常に好調な着地となりました。
資源循環事業における「量から質へ」の転換や、EV普及を背景に急成長するリチウムイオン電池(LIB)リサイクル事業の拡大が、グループ全体の利益率を劇的に押し上げています。
■ 決算ハイライト:進捗率93%超、驚異的な利益成長
当第3四半期累計の業績は、売上高が前年同期比13.6%減となったものの、経常利益は同144.4%増(約2.4倍)と急激な伸びを示しました。通期の経常利益予想(26億円)に対する進捗率は第3四半期終了時点で約93.1%に達しており、年間目標の達成に向けて極めて順調なペースで推移しています。
売上高: 326億5,700万円(前年同期比 13.6%減)
営業利益: 21億6,300万円
経常利益: 24億2,200万円(前年同期比 144.4%増)
純利益: 16億6,400万円
自己資本比率: 54.4%(前期末 54.0%から改善)
※通期の連結業績予想(売上高430億円、経常利益26億円など)は据え置かれています。


■ 部門別概況:主力3事業が揃って収益性改善
大幅増益の背景には、主力3セグメントすべてにおける収益構造の良化があります。
1. リチウムイオン電池(LIB)リサイクル事業:急成長と体制強化
グループの成長ドライバーとして最も注目されるのが、子会社「株式会社VOLTA」が牽引するLIBリサイクル事業です。市況の安定と受注増により、利益率が大きく改善しています。
拠点拡大: 関東圏での廃材回収および人口密集地からの使用済みLIB回収を強化するため、茨城県ひたちなか市に新たな工場拠点を展開。
経営体制の刷新: 2026年1月に北詰一隆氏がVOLTAの代表取締役社長に就任し、事業拡大に向けた体制を強化。
自治体との連携: 東京都の「令和8年度リチウムイオン電池等広域的資源化事業 協働事業者」に2年連続で採択。電池火災予防や安全なリサイクル網の構築など、社会的課題の解決と事業成長を両立させています。
2. 資源循環事業:独自の選別技術で「量から質へ」
売上規模の大きい中核事業である金属リサイクル等においては、独自の選別技術を深掘りすることで、スクラップから高付加価値品を効率的に回収する体制を構築しました。これにより金属市況の変動リスクを軽減し、前年同期比で利益水準が大幅に向上しています。
3. グローバルトレーディング事業:構造改革の結実
継続して取り組んできた不採算取引の見直しや業務効率化といった構造改革の成果が顕在化し、国際取引部門においても収益性が大きく改善しています。
■ まとめ・今後の展望
今期のエンビプロ・ホールディングスは、売上規模を追うフェーズから、技術力と事業構造の変革によって「利益を創出するフェーズ」へと完全に移行したことが数字に表れています。
特にリチウムイオン電池リサイクル事業は、設備投資や経営体制の強化、行政との連携が計画通りに進捗しており、今後の脱炭素社会・サーキュラーエコノミーの実現に向けた中核を担う存在として、さらなる飛躍が期待されます。
(IRUNIVERSE)