YKKと東北大学が共同研究講座を開設〜ドロス、スラッジの循環利用研究他
アルミニウムリサイクル副産物の循環利用技術の開発を加速
3月19日、YKK AP株式会社(本社:東京都千代田区、社長:魚津 彰)と国立大学法人東北大学(総長:大野 英男)は、2024年4月1日より共同で次世代型アルミニウム資源循環のため共同研究講座を開設と発表した。
YKK APはビジョン「Evolution 2030」の柱に地球環境への貢献を掲げ、循環型社会実現に向けた仕組みづくりを推進している。製品素材のリサイクル技術確立を目指し、2030年度までにアルミリサイクル率100%(国内)達成に向け、アルミ鋳造設備の再構築や技術開発・研究など環境価値創出に努めている。
一方、アルミリサイクルプロセスにおいては、アルミ以外の素材(樹脂等)から発生する副生ガスや大量に発生する副生廃棄物(ドロス)の適正処理が重要な課題であり、これらの副産物をも循環利用可能なプロセスの設計開発が求められている。このアルミリサイクル副産物の循環利用は従来研究で未だ解決に至っておらず、その解決を図るため金属材料分野で高い実績を誇る東北大学内に共同研究講座を設置し、持続可能なアルミリサイクル社会実現に向けて以下の研究を実施する。
【講座名称】 次世代型アルミニウム資源循環(YKK AP)共同研究講座
【研究内容】
1.アルミリサイクル副産物の分析
様々な市中アルミリサイクル材の情報を市場から収集し、回収したサンプルの構成や組成を分析し、処理プロセスで発生する副産物の特性を明らかにする。得られた情報により各スクラップおよび副産物に応じた最適なリサイクルプロセスを提案する。
2.アルミリサイクル副産物の循環利用
市中アルミリサイクル材の再生において発生する副産物を原料とした製品規格を構築し循環利用を達成する。リサイクル時に発生するドロスや再生アルミ表面処理時に発生するスラッジ(金属などの沈殿物)をターゲットとして、循環利用製品の規格化を試みる。
3.副産物発生および副産物循環利用における各種反応解析
副産物の発生メカニズムや資源化プロセスにおける各種反応を解析し、学術的価値の高いものについては精緻な解析を行い科学技術発展に寄与する。
【設置期間】 2024年4月1日~2026年3月31日(2年間)
【設置部局】 国立大学法人東北大学 大学院工学研究科
【講座構成】 三木 貴博(教授:大学院工学研究科)平木 岳人(特任准教授:大学院工学研究科)
東北大学は日本の金属材料研究における中心的役割を担い、アルミ精錬、アルミドロス等の研究を行っている。同講座によるアルミリサイクルプロセスに係る取り組みにより、アルミリサイクル副産物の循環利用技術の開発、持続可能なアルミ産業の構築、新規リサイクルプロセス構築に伴う雇用創生、SDGsに資する環境ビジネスの創生等の成果が期待される。
(IR universe rr)
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