“SEA JAPAN2024” 船用尿素水@阪和興業株式会社
昨日2024年4月10日(水)にインフォーマ マーケッツジャパン株式会社が主催するSEA JAPANが、東京ビッグサイトで開幕した。
日本企業と海外企業の出会いの場として、更に新しいビジネスチャンスを生み出す上で重要な場として、1994年に第1回目を横浜で開催してから、今年で30周年を迎えたSEA JAPANは、東京ビッグサイト 東1~3ホールにて4月12日(金)の17:00まで開催される。特別協力は公益財団法人 日本財団。
併催展として、Offshore & Port Tech 2024 in Sea Japanが初開催
出展規模は620社・団体
出展国:32か国・地域
来場者見込みは20,000名
写真上:入口は乗船口と表示されている。
SEA JAPAN 2024では更に、「海事産業×次世代人材」として、
日本の海事産業が一同に集結するこの場は、学生に海事産業の魅力を知ってもらう絶好の機会としても捉え、人材と出会える場としても活用することを推奨していた。
会場でお話をお聴きしたのは、国立高等専門学校機構 広島商船高等専門学校COMPASS 5.0 IoT分野拠点校リーダーの岸氏であった(ご専門は、海洋空間利用工学及び開示サイバーセキュリティ)。
これにより、それぞれの高専は、各校の専門性に加え、どの高専にいても同じ教育機会を得ることができるとのこと。
会場では高等専門学校のデジタルトランスフォーメーション(DX)の社会実装に向けた様々な教育実践を紹介していた。
「船用尿素水」とは
“船用尿素水”を阪和興業株式会社では、パナマにて2024年5月以降納入(トライアル)開始する。
“船用尿素水”を知っておられるでしょうか?
筆者は知識が無かったので、いまでは船を造ることは無く、触媒を自社構造で生産されている“日立造船株式会社”のブースで教えていただいた。
写真上:ご説明いただいた日立造船株式会社のブース
まず、日立造船の“日立”は、“この木なんの木、きになる木”の日立グループとは関係がないとのこと。
現在は、造船業は行われていない。そのため、社名は今後「kanadevia」となる(速報)。
この「kanadevia」は、造語であり、“Kanade”は、オーケストラが楽器を“奏でる”ように個々の音色:技術が合わさることで更に高め合うことを意味し、“via”は、道、方法を意味し、道しるべとなることを目指す会社名に変更される。
NOxの排出規制と対応技術
規制海域(Emission Control Area)
2014年3月の第66回IMO海洋環境保護委員会では、NOx排出量の上限を3.4 g/kWh(第1次規制で80 %減)と定めた第3次規制が決議され、2016年1月からNECA(NOx Emission Control Areas)と呼ばれる海域で規制が開始されている。
また、2016年10月の第70回IMO海洋環境保護委員会では、バルト海及び北海海域がNECAに追加認定され、2021年1月から規制が開始された。今後も規制海域の拡大が見込まれる。
NOx排出量を削減するには、この排ガス中のNOxを尿素水との還元反応により、無害な窒素と水に変換する必要がある。
日立造船のHitz Green SCRシステムとは、
船舶エンジン排ガス中に含まれるNOxと尿素水の還元反応により、無害な窒素と水に変換するシステムである。
“Hitz Green SCR”はNOx排出の3次規制に適合する低速エンジン向けSCRシステムであり、発電所をはじめとする陸上プラントで数多くの実績を有する日立造船独実の触媒技術を応用したものである。
2011年からアジア・北米航路での実証試験を開始し、約5年間で11,000時間を超える実証試験を実施し、得られた膨大な運転データは、装置の開発や設計にフィードバックされた。
NOx低減に最適な触媒は自社工場で生産されているとのこと。触媒の機材には軽量で衝撃に強いグラスファイバーを採用し、触媒交換作業の負担を軽減されているとのこと。残念ながら使用している鋼材 は、国産ではなく、中国製とのことだった。
この触媒反応の還元剤である尿素水を製造する装置、船内製造用の尿素水製造装置も開発・販売している。
保管が容易な尿素粉と船内で精製した蒸留水から尿素水を船内製造することで、ランニングコストの低減が可能となる。
この、尿素粉を輸入しているのが、阪和興業株式会社である。
ご存じのとおり、阪和興業は、鉄鋼をはじめ各種金属、食品、エネルギー、生活資材、木材及び機械など、さまざまな商品を幅広く扱われている商社である。
部門別売上構成比(2022年4月1日~2023年3月31日)では、“鉄鋼”比率は、46.2 %と既に50 % を下回っており、エネルギー・生活資材が約13 %、プライマリーメタルが10 %、リサイクルメタルが約5 %と、変化する時代に合わせて、最適なビジネスを展開されている。
SEA JAPANでは、“船用尿素水”を展示された。
阪和興業のエネルギー・化学品部門では、多岐に渡る有機化学・無機化学品を取り扱われているが、工業用尿素に関しては、年間約10万トンの取扱数量であり、国内トップレベルとなる。
写真上:尿素粉の展示 様々な国から輸入されている。これまでは肥料に用いられるのが主体であったが、特にスロバキア品は、高純度とのことで、船舶用尿素水に適しているとのこと。
阪和興業では、海外からの輸入に加え、国内メーカーからの仕入れ、海外への輸出や三国間貿易と幅広く尿素事業に従事されている。
2021年末に発生した世界的な尿素逼迫時も、阪和興業では供給力を活かし全国の需要家へ安定供給を実施している。
阪和興業のブースで来場者に熱心に説明されるご担当者殿
筆者は、女性の方にご説明いただいた。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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