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カザフスタンのレアアース資源に注目集まる 米中対立激化で、現時点では埋蔵少量も期待

2025/10/16 10:33
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カザフスタンのレアアース資源に注目集まる 米中対立激化で、現時点では埋蔵少量も期待

 中央アジアのカザフスタンのレアアース資源に注目が集まっている。現在では埋蔵量が少なく採掘活動も低調だが、新たな鉱床発見が伝わった上、米中対立の激化で米国をはじめとする西側諸国が生産を援助するとの期待が強まっている。従来、埋蔵が少ないとされたウクライナでレアアース生産を巡る基金が設立された経緯もあり、期待は高まりつつある。

 

■今春、新たな鉱床発見と報道

 

世界のレアアース鉱石の埋蔵量分布

(出所:JOGMEC)

 

 中国の金蔵専門メディアferroalloy.netは10月15日、「中国が10月9日にレアアースの輸出規制を強化したことで、中国以外の地域からのレアアース調達需要からカザフスタンへの注目が再度高まっている」と伝えた。きっかけの1つは2025年春に同国中部のカラガンダ州で、大規模なレアアース鉱床が見つかったと伝わったことだ。

 

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■レアアース生産、現時点では小規模

 現時点ではカザフスタンのレアアース産業の規模は小さい。同国の鉱業はウランとクロムが主力。ウランは産出量で世界首位、クロムは2位を誇る。銅、亜鉛、鉛、金といったベースメタルの生産が盛んで、レアメタルは少ない。

 

カザフスタン概要

(出所:JOGMEC)

 

 ただ、レアメタルについては近年、取り組みが見られるようになった。国有原子力公社であるカザトムプロムは2023年、「独自のレアメタル採掘事業を拡大する」と発表し、タンタリウム、ニオビウム、ベリリウムなどを採掘するとした。JOGMECによると、その後、ニオブ、タンタルでは、規模が限られるものの、ベリリウム 関連製品の生産では世界有数の規模に成長した。

 

関連記事:ウランのカザトムプロム、レアメタル採掘を拡大へ タンタルやニオブなど

 

 ほかに休眠中のタングステン鉱山の再開発やガリウム、リチウムなどの生産計画も聞こえてくる。

 

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■中国企業は既に進出

 米国はこうしたカザフスタンの状況を見て、自国のレアアースのサプライチェーン(供給網)にカザフスタンを取り込みたい考えだ。ただ、障壁は2つある。1つは前述のようにレアアース資源自体の規模が未知数であること。カラガンダ州での鉱床も発見されたばかりで、商業化までの道筋は遠い。

 2つ目の障壁は中国との関係だ。カザフスタン政府は外資による投資を歓迎しているが、物流などのインフラも含め、既に地続きである利点を生かして中国企業が進出している分野は多い。中国金生産の紫金鉱業は6月、カザフスタンのRaygorodok金鉱山の買収を発表した。同社は9月に香港株式市場に上場させた子会社を通じ、カザフスタン事業に一段と注力する構えだ。

 

関連記事:中国・紫金鉱業、カザフスタンの金鉱買収 1兆7000億円、海外資産の拡張進む

 

 総じて、現時点ではカザフスタンのレアアース産業は大きく期待できる規模ではない。ただ、米国とウクライナは9月、レアアース生産を盛り込んだ共同基金を本格的に立ち上げた。

 

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 ウクライナもチタンなどが主力で、レアアースの埋蔵量は少量とされている。カザフスタンについても埋蔵量が少量であることは承知の上で、米国をはじめ各国が投資を活発化させる可能性がある。

 

(IR Universe Kure)

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