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工作機械工業会3月受注確報 3月11.4%増1511億円、24年度3.9%増1兆5097億円

3月工作機械受注1511億円(11.4%増)と6カ月連続同月比増、30カ月ぶり1500億円超

 

 4/24の15時に日本工作機械工業会の2025年3月工作機械受注確報が開示された。3月受注は1511.01億円(同月比11.4%増、前月比27.8%増)と6カ月連続同月比増加、30カ月ぶりに1500億円超となった。

 

 

外需17.9%増1018.37億円と6カ月連続同月比増で3カ月ぶりの1000億円超え

 

 外需は1018.37億円(同月比17.9%増、前月比20.6%増)と6カ月連続同月比増、3カ月ぶりに1000億円超となった。主要4業種全てで同月比増、前月比では航空・造船・輸送用機械のみ減少。一般機械は318.3億円(同月比23.5%増、前月比34.9%増)と3カ月ぶりに300億円超えに。自動車は238.5億円(同月比13.4%増、前月比24.8%増)と3ヶ月ぶりの200億円超え。電気・精密は173.8億円(同月比49.4%増、前月比42.6%増)と2ヶ月ぶりに130億円超え。航空・造船・輸送機械は76.6億円(同月比19.8%増、前月比20.2%減)。

 

 主要3極別ではアジアが555.1億円(同月比44.0%増、前月比35.0%増)と、12カ月連続同月比増、3カ月ぶりに500億円乗せ、12か月連続で400億円超と堅調持続。東アジアは408.6億円(38.0%増)で、このうち中国が360.9億円(同月比42.2%増、前月比35.2%増)と、自動車の好調、全人代に合わせた政策実行などで3カ月ぶりに360億円超えに。中国の主要4業種全てで同月比増。一般機械129.1億円(44.1%増)、自動車129.7億円(96.5%増)は29カ月ぶりの120億円超えでBYDなどのEV投資継続が寄与している模様。電気・精密も65.4億円(4.7%増)に。全体として中国の工作機械NC化向上促進への補助金政策が継続、一部対象を広げ回復が継続している。その他、韓国25.87億円(31.1%増)、台湾21.82億円(8.9%増)と軒並み同月比増に。その他アジアは146.52億円(63.8%増)で、インドが98.2億円(同月比127.5%増、前月比82.3%増)と3カ月連続同月比増、5ヶ月ぶりに90億円を超え、単月過去最高額を更新した。その他ではベトナムが16.21億円(37.1%増)と健闘している。

 

 北米は272.8億円(同期比3.3%減、前月比6.0%増)。このうちアメリカは247.0億円(同月比2.1%増、前月比7.3%増)。米国主要4業種では一般機械84.0億円(14.9%増)、航空・造船・輸送用機械31.0億円(14.9%増)、電気・精密は19.4億円(59.1%増)。一方、自動車が39.3億円(14.5%減)に止まる。一方でメキシコ19.81億円(23.3%減)、カナダ5.93億円(59.0%減)など、トランプ関税問題が影響している可能性も。

 

 欧州は165.2億円(同月比4.3%減)と15ヶ月連続同月比減。ドイツ34.8億円(同月比14.9%減)と16ヶ月連続減、イタリアは27.4億円(同月比36.2%増)と18カ月ぶりに同月比増、フランス19.39億円(20.7%増)、イギリス19.02億円(22.3%増)などでドイツの不振が影響している。主要業種4業種では自動車を除き同月比増。一般機械が52.6億円(2.9%増)で10か月ぶりに50億円超え、特にイタリア10億円以上増が寄与。電気・精密16.8億円(30.4%増)も5ヶ月連続20億円割れ。航空・造船・輸送用機械は28.7億円(42.1%増)と同月比増も2カ月連続30億円割れ。自動車は13.8億円(47.2%減)と4カ月連続20億円割れでEV不振の影響が大きい。

 

 外需全体ではアジアが牽引、EU不振継続で、米国はまだら模様で全体では12月以来の1000億円乗せで24年度では2番目に大きな受注。トランプ政権の関税問題、EVの設備投資削減などからから、現在まで外需は健闘しているものの先行き不透明要素が多い。

 

 

 

内需492.6億円(同月比0.0%増、前月比45.9%増)と年度末で6カ月ぶり400億円超え

 

 内需は492.6億円(同月比0.0%増、前月比45.9%増)と辛うじて5ヶ月連続前年同月比増となり、年度末でもあり、一部特需も寄与し6ヶ月ぶりの400億円超え、490億円超えは12カ月ぶり。主要4業種は同月比で自動車、航空・造船・輸送用機械が増加。一般機械は191.5億円(同月比3.2%減、前月比52.8%増)と年度末で12カ月ぶりに190億円超えも3ヶ月連続同月比減に。航空・造船・輸送用機械は31.1億円(同月比76.0%増、前月比25.7%減)と大型受注の反動減で前月比大幅減も同月比4カ月連続増に。電気・精密53.4億円(同月比25.3%減、前月比64.7%増)で半導体製造向けなど勢いがない。自動車は119.3億円(同月比25.1%増、前月比70.7%増)と大幅増も国内新車開発方針不透明で低水準続く。

 

 全体として内外ともにリスク要因、不透明感が強く、特に自動車はEVの不透明、自動車関税などの動きもあり一段の投資先送り懸念され、受注の本格回復は後ずれ懸念高まる。

 

 

3月販売33.4%増2186億円は18/3以来、受注残8.5%減6924億円は21/10以来の低水準

 

 3月販売は2186.42億円(同月比33.4%増)と4カ月連続同月比増。単月で2000億円超えは18/3以来2度目であり、年度末に加えトランプ関税問題などから駆け込み出荷もあったとみられる。受注残高は年度末による販売の集中に加え、トランプ関税問題を背景に関税発動前の駆け込み出荷もあったとみられ、6924億円(同期比8.5%減)と23/6以来同月比減を続け、21/11の6781億円以来の7000億円大台割れとなった。

 

 

2024年度工作機械受注は3.9%増1兆5097億円と2年ぶり1兆5000億円超え

 

 24年度工作機械受注額は総額1兆5097.36億円(前年度比3.9%増)となった。2年ぶりの増加とともに、2年ぶりの1兆5000億円超えとなった。また販売額は1兆5975億円(2.1%増)も、2年連続で1兆6000億円割れが続いた。

 

 

 内訳は外需が1兆656億円(前年度比7.0%増)と、2年ぶりに増加、しかも2年ぶりに1兆円超に回帰した。アジア向けが5468億円(30.0%増)で全体を牽引、このうち中国が3566億円(36.4%増)、インド向けが741億円(33.7%増)、韓国317億円(25.5%増)、ベトナム219億円(86.2%増)など、高い伸びに。一方、欧州は1829億円(18.6%減)と2000億円割れに。ドイツ398億円(21.1%減)、イタリア237億円(20.3%減)と上位2国向けが大きく落ち込んだほか、主要国すべてが前年割れに。また北米も3052億円(5.2%減)となった。米国が2680億円(4.4%減)、メキシコ184億円(13.1%減)、カナダ188億円(8.4%減)といずれも1ケタ減に。欧米共に円安にもかかわらず減少したが、特に欧州はEV向けの低迷、ウクライナ情勢、対中向け不振などの影響が大きく出ているとみられる。

 

 

 内需は4442億円(前年度比2.9%減)にとどまり、2年連続の減となった。自動車向けが927億円(6.5%減)で2年連続1000億円割れとなったが、一部の不祥事、またEV向け設備投資の遅延などが影響したとみられる。一般機械も1786億円(7.4%減)と2年連続減少した。特に金型向け138億円(45.1%減)、建機向け83億円(32.2%減)など大幅減に。電気精密も526億円(2.2%減)で、精密は237億円(16.0%増)と半導体製造装置向けなどが健闘も電機は288億円(13.4%減)と民生機器の低迷などが影響。航空・造船・輸送用機械は286億円(42.1%増)と大幅増となったが、特に航空機が154億円(79.6%増)と伸張した。


 

 販売額については1兆5975億円(2.1%増)と豊富な受注残高の消化で増加、受注残高は6924億円(8.7%減)と2年連続減となった。

 

 主要機種別動向では最大機種のMCが6520億円(10.0%増)と2ケタ増を確保、但し期待の大きい5軸以上の複合加工MCは1685億円(4.9%増)にとどまった。旋盤は4905億円(1.8%減)となったが、こちらは複合加工機が2300億円(4.7%増)と2年連続増加している。研削盤は822億円(4.4%減)、放電加工機は538億円(19.4%増)と健闘した。

 

 25年度については、トランプ関税、EVの動向、様々な紛争リスク、世界的な景気減速懸念など、不透明要素が多い。特に第一四半期においては相互関税、別途自動車関税問題の行方が不透明で、世界的に設備投資の意思決定がなされない懸念があり、受注の先送り、販売についても関税分の上乗せ分の負担をどうするかなどもあり、米国向けの出荷については販売遅延が懸念される。工業会では2025 年暦年工作機械受注予測を7.9%増の 1 兆 6000 億円としており、人手不足を背景に省人化、自動化ニーズが高く、年後半には受注が高まるとしている。しかし4~6月については相互関税の90日間の猶予期間という時期とも重なり、混乱が避けられず、その後も混乱が収束するには時間がかかるとみられる。特に工作機械業界の主要需要先である日本の自動車産業が、高率の輸出関税を掛けられ、需要予測を見直す他、日本だけでなく欧州メーカーなども見直しに着手するなど、工作機械受注にマイナスのインパクトを与える懸念が生じている。また世界的なEV普及の思わぬ低迷でEV関連設備等にも暗雲が漂っている。また半導体関連では先端半導体製造についてAIの進展で活況を呈しているものの、レガシー半導体やEV、再エネに関連してパワー半導体においてはEVの見直し、再エネではトランプ政策の再エネに対する見直しなども影響、パワー半導体設備投資は一服状況にある。一方、地政学的な緊張の高まりで防衛・軍事産業向け、さらには宇宙産業への設備投資は増加する可能性がある。このため工作機械受注の回復は10~12月にずれ込懸念があり、本格的な工作機械受注拡大となるシナリオは描きにくく、25年度受注について、上期が減少、下期回復でも受注減少に転ずる懸念もある。

(工作機械工業会資料より添付、もしくはIRユニバースで加工)

 

 

(H.Mirai)

 

 

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