ロンドン金属取引所(LME)ののロシア産アルミニウムの在庫が増している。同所が6月12日に発表したリポートによると、5月31日時点のアルミ新地金の在庫のうち、ロシア産が占める割合は67%と4月末時点の52%から拡大した。LMEは西側諸国がウクライナ侵攻を受け対ロ制裁を強める中でも。ロシア産アルミの取引を継続しており、行き場を失ったロシア産アルミが流れ込んでいるようだ。
5月のLMEアルミ在庫のうち、新地金のキャンセルはロシア産が19%、非ロシア産が81%で、キャンセル分は在庫に格納された。積み荷は54%がロシア産、非ロシア産が46%だった。LMEのロシア産アルミの在庫は、2023年に入り急激に増えている。
LMEのロシア産新地金アルミ在庫の推移
(注)左から2022年10月6日、同10月28日、2023年1月31日時点
出典:LME
LMEは「ウクライナ侵攻を支援するわけではないが、商品取引に政治的要因を持ち込むべきではない」との立場から、市場の要請に伴いロシア産アルミの取引を継続するとしている。
ただ、米国が2023年2月にロシア産アルミに200%の関税をかけ事実上の禁輸措置を採るなど、西側諸国の間ではロシア産アルミの取引を敬遠する動きが続く。米アルミのアルコア幹部は2023年4月、「LMEのアルミ価格は市場の実態と乖離する恐れがある」との懸念を示した。
(IR Universe Kure)