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東レ 炭素繊維の⼒学特性・表⾯品位を維持可能なリサイクル新技術を創出

2025/11/04 21:12 FREE
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東レ 炭素繊維の⼒学特性・表⾯品位を維持可能なリサイクル新技術を創出

〜炭素繊維不織布などから⽤途展開を推進〜

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社⻑:⼤⽮ 光雄)は、10⽉31⽇、熱硬化性樹脂からなる多様な炭素繊維複合材料(以下「CFRP」(Carbon Fiber Reinforced Plasticsの略称))を分解し、炭素繊維の強度や表⾯品位を維持可能なリサイクル新技術、および本技術にて得られるリサイクル炭素繊維(以下、「rCF」(recycled Carbon Fiberの略称))を⽤いた新たな炭素繊維不織布を創出したと発表した。
 ⾃動⾞、建築、電気電⼦、⽇⽤品など幅広い⽤途での機能材や意匠材としての展開を⾒据えて、顧客への試作サンプルの提供を開始。今後、顧客の⽤途に合わせて、さらなる技術検討を進めていくという。

 CFRPは、航空機や⾵⾞などの⽤途で使⽤されており、廃棄CFRPから取り出したrCFの⽤途として鉄鋼炉の還元剤としてのケミカルリサイクルが進んでいる。また、廃棄CFRPを⾼温で熱分解してrCFを回収・再利⽤するマテリアルリサイクルの技術開発も進んでおり、射出成形⽤途を中⼼に市場が拡⼤している。他⽅、さらなる⽤途拡⼤においては、rCFの熱損傷※1抑制および樹脂残渣※2制御ができ、あらゆる廃棄CFRPに適⽤できる技術が必要と考えられている。

 東レは、これまで蓄積してきた有機合成・ポリマー重合の知⾒を活⽤し、三次元架橋※3された難分解な熱硬化性樹脂に対し、従来技術より低温で分解可能な新規分解剤を⾒出した。この新規分解剤により、航空機、⾵⾞、⾃動⾞などさまざまなCFRP廃材の分解を実現。同技術により得られたrCFの単⽷引張強度は、⽯油由来のバージン炭素繊維に対し95%以上の強度保持率を発現する。また、同技術にかかるCO2排出量は、バージン炭素繊維の製造時と⽐較し、50%以上の削減が期待できるという。

 

 

 同技術で得たrCFは、従来rCF対⽐強度が⾼く、後加⼯プロセスでの繊維折損が少ない特徴があり。さらに、樹脂残渣が少なく表⾯品位に優れることから、より幅広い⽤途への加⼯が可能。なかでも、短繊維を分散させてシート状に加⼯する不織布への検討を進めた結果、同技術で得たrCFは、⽔への分散性が容易に制御でき、均質形態の不織布や、従来にない和紙の⾵合いを有する不織布の作成に成功した。

 この和紙調炭素繊維不織布は炭素繊維の機能性(電波遮蔽や熱伝導性など)と和紙の意匠性を兼ね備えた新素材として、幅広い分野への展開を⽬指していく。

 また、今回開発した和紙調炭素繊維不織布は、2025年10⽉30⽇(⽊)〜11⽉9⽇(⽇)にて東京ビッグサイトで開催されているJapan Mobility Showに出展中のマツダ株式会社(本社︓広島県安芸郡、代表取締役社⻑兼CEO ⽑籠 勝弘)のビジョンモデルの内装や外装部品に搭載されている。

 

 

 なお、同技術および炭素繊維不織布の加⼯技術は、環境省の「脱炭素型循環経済システム構築促進事業(令和6年度、7年度)」により得られたものとのこと。


<⽤語説明>
※1 熱損傷
熱分解処理中に炭素繊維が⾼温や酸化性雰囲気にさらされることで、物理的・化学的性質が劣化する現象
※2 樹脂残渣
炭素繊維と樹脂を分離する過程で、炭素繊維の表⾯に残留する未分解または分解しきれなかった樹脂
※3 三次元架橋
⾼分⼦鎖同⼠が化学的または物理的に結合して、⽴体的なネットワーク構造を形成すること


(IR universe rr)

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