前回のレポートでも報じたが、いまや鉛バッテリースクラップ市場も海外勢に引っ張られる展開となり、鉛バッテリースクラップ相場は常に彼らの買いにより上昇。関東地区ではキロ当たり75〜80円、巣鉛は120円強。
しかしその一方で、全国各地で違法解体、そして違法精錬がまかり通っている、との情報が寄せられており、なかには、例えば三重県のほうでは、大気、排水、ともになんらの環境対策設備もしていない、という噂で、日系鉛精錬メーカーは「そんないい加減なところとかなりなコストかけてやってる我々が不平等な競争強いられるのはおかしいでしょう!」と怒り心頭。
それらが事実だとすれば立派な環境犯罪だが、この件で経産省に聞いてみると、まずは市民からの通報があって警察、保健所が動いて、現行犯でないと逮捕には至らない。。また、有価でスクラップを買っていれば、バッテリーの解体、金属精錬も、法的には問題ない、とのこと。それは硫酸液などの処理を適切に行なっている、という前提があってではあるが。とのこと。
その結果、と言っていいだろう、巣鉛を含むと思われる金属鉛くずの輸出量は明らかに、激増している。基本的にバッテリー由来の巣鉛の輸出はバーゼル法の規制対象となるため禁止、である。この激増ぶりに環境省、経産省も目を光らせており、各地の港で輸出を止められているときく。その止められた巣鉛は、おそらくは中華系の鉛精錬工場に向かっているものと推測される。

2018年 1649トン
2019年 2528トン
2020年 2185トン
2021年 3966トン
2022年 11,971トン
昨年は過去最高に達したのだが、今年2023年は6月までですでに10,568トンと昨年1年間の輸出量と同等にまで達している。前年同期比では実に3.5倍増と文字通り激増している。
このペースでいけば、金属鉛くずの輸出量は年間2万トンまて増える可能性がある。これも国内鉛精錬メーカーにとってかなりな脅威であろう。
(iruniverse yt)