中国商務省は15日、レアメタルの一種で半導体の材料となるアンチモンやその関連製品などを9月15日から輸出規制の対象にすると発表した。米が強める対中輸出規制への対抗措置とみられる。すでに、中国は半導体の材料となるゲルマニウムとガリウムのほか、EV(電気自動車)用電池の生産に欠かせない黒鉛などを輸出規制の対象としている。
輸出規制は、戦略物資などの輸出管理を強化する輸出管理法などに基づいて実施する。アンチモン鉱石などの素材や関連製品に加え、素材を精錬する技術も対象になる。
中国はアンチモンの全世界の生産量のうち48%を占めている。9月15日以降、アンチモンを輸出する際には中国政府の許可が必要になる。
規制の理由について中国政府は、「特定の国や地域を対象にしたものではない」としながらも「いかなる国や地域もこれらの材料を使って中国の国家主権や安全保障を損なうことに反対する」と説明しており、アメリカによる半導体の対中輸出規制や中国企業に対する制裁への対抗措置とみられる。
アンチモンを含む特殊な半導体材料は、高い電子の移動速度を持ち、より高速なデバイスの製造が可能になる。特に赤外線の検出や放射に優れた特性を持ち、宇宙開発や太陽光発電といった高度な技術分野で活用されている。
中国商務省プレスリリース:商務省及び税関総署のアンチモン等輸出管理の実施に関する2024年第33号発表
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(IRuniverse G・Mochizuki)