英政府は9月17日、ホームページ上で、「インドネシアとの間で開発と重要鉱物に関する技術協定に署名した」と発表した。インドネシアを巡っては、米国が7月に西側のサプライチェーン(供給網)への参加を呼び掛けたばかり。中国勢がニッル生産などで浸透する地域だが、欧米勢も資源国の取り囲みを急ぐ。
■英国の技術、ニッケルや風力・太陽エネなどに
(出所:英政府ホームページ)
署名はアンネリーズ・ドッズ開発担当国務大臣兼女性・平等担当国務大臣のジャカルタ訪問に伴い実現した。英国は、インドネシア国家計画庁及びエネルギー鉱物資源省との開で、開発協力および重要鉱物に関する戦略的パートナーシップに関する2組の二国間覚書(MoU)にそれぞれ署名した。ドッズ氏は9月16-19日までインドネシアに滞在する。
英政府は発表資料中で、「インドネシアは再生可能エネルギーの大きな可能性を秘める。インドネシアの森林を効果的かつより持続可能な形で管理し、よりクリーンなエネルギーへの移行を支援することは、すべての人の利益につながる。英国の技術的ノウハウと資金へのアクセスは、これを実現するのに役立ち、気候危機に取り組み、その過程で新たな経済成長を生み出すだろう」とした。
プレスリリース:UK and Indonesia strengthen partnerships on growth and climate - GOV.UK (www.gov.uk)
一方、インドネシア地元メディアのアンタラは9月18日、インドネシアのエネルギー鉱物資源(ESDM)のラハダリア大臣がこの件に関し、「両国間の技術協力の可能性は、ニッケル、水中技術、風力エネルギー、太陽エネルギー開発など、非常に多様だ」と話したと伝えた。
■英米アプローチも現状は中国勢が浸透
インドネシアの重要鉱物を巡っては各国が火花を散らす。米国は2023年11月にバイデン米大統領とインドネシアのジョコ大統領が会談し、2国間の関係を「包括的戦略パートナーシップ」に引き上げることで合意した。2024年に入ってからは、7月にホセ・フェルナンデス米国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)がインドネシアを訪問。欧米など14か国で形成する「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)」への参加をインドネシアに呼びかけた。
一方、インドネシアではスラウェシ島に中国の青山控股集団がニッケルの大型工場を展開するのを筆頭に、かねて中国勢の進出が進む。インドネシア政府は単純な資源国から加工をはじめとする製造立国への転換を目指し、ニッケル鉱石の輸出を禁止するなどの措置を採るが、加工分野でも中国勢の進出が目立っているのが現状だ。
(IR Universe Kure)