UACJは3日、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)の革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラムの研究提案募集で、同社を含3社で取り組む「WAAM向けSc(スカンジウム)入り高強度アルミニウム合金ワイヤーの研究開発」が課題解決型共同研究に採択されたと発表した。3月の共同研究開始に向け、実施計画を作成し、契約の締結を進めるという。ロケット向け高強度アルミ合金の研究が量産化に向け一歩前進することになる。
* WAAM:Wire Arc Additive Manufacturing(ワイヤー・アーク積層造形):AMのうち、金属ワイヤーをアークで溶かして積層していく手法のこと。
採択されたのはUACJと三菱重工業、富山住友電工の3社共同プロジェクト。
JAXAの革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラムの第2回研究提案募集に採択され、2022年9月から「WAAM向け高強度アルミニウム合金ワイヤーの開発」として、三菱重工業と共同で、ロケットの燃料タンクに使用される高強度アルミ素材の試作を進めてきた。研究対象のアルミ素材は、WAAM技術を用いた3Dプリンターに使用できる高強度なワイヤーで、加工工程の削減や自由な形状の作成が期待されているという。24年10月までの共同研究では、富山住友電工の協力で、高強度で高品質の積層材を作製できるワイヤーの試作を実現していたという。
今回の採択で、研究フェーズをよりステップアップさせ、3年間でロケットに使用可能な高強度アルミニウム合金ワイヤーの実用化を目指すことになる。量産化を考慮した製造工程における試作を通じて製造条件の適正化を進め、量産化の目途を立てる。
UACJでは「今後もアルミニウム素材の研究開発を重ね、宇宙産業の発展に寄与し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していく」としている。