エクアドルで金鉱を探査していたカナダ資源大手のルミナ・ゴールドは4月21日、自社ホームページ上で、「中国レアメタル大手の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)に身売りする」と発表した。売却額は5億8100万カナダドル(約590億円)。
■大幅な高値で売却へ
プレスリリース:Lumina Gold Announces Acquisition by CMOC for C$581 Million - Lumina Gold
CMOCのシンガポール子会社を通じ売却する。CMOCはルミナの発行済み株式を1株当たり1.27カナダドルで現金で購入する。この価格はカナダのベンチャー向け市場に上場するルミナの4月17日終値に対し41%高い水準。両社は元本総額2000万米ドルの、ルミナ株に転換可能な転換社債(CB)の発行でも合意した。手続きは7-9月期に完了する予定で、手続き完了に伴いルミナはカナダ証券取引所での上場を廃止する。
ルミナはエクアドル南西部のエルオロ州にあるCangrejos金鉱の開発を手掛ける。2023年に金鉱プロジェクトの実現可能性調査を終えたが、その後の資金不足などに悩んでいた。今回の身売りを巡っては、今後、カナダ当局などの承認が必要となる。
■中国の金保有需要も背景か
トランプ関税で世界経済の先行き不透明感が強まる中、安全資産としての金の需要は増すばかりだ。ニューヨーク商品取引所の金先物相場は日本時間4月22日午後の時間外取引で、初めて取引の中心となる6月決済物が初めて$3500/tozを突破した。巷では金相場の予測引き上げが続き、米ゴールドマン・サックスは「2025年末までに$3700/toz」、米シティ・グループは「3か月以内に$3500/toz」と予測したと伝わる。
過去20年間間のNY金価格の推移($/toz)
特に中国は金需要が強まっている。米国との対立が深刻化する中で米国離れを加速させ、外貨準備の米ドル保有を減らし金に振り向ける動きを強めている。中国には紫金鉱業などの金鉱企業があるが、今回、CMOCも金生産に加えたことで、金確保の動きを一段と強めたと言えそうだ。
各国中央銀行の金準備高の推移
(出所:3月4日の川上敦氏セミナー「Chuck Kawakamiの金融経済Now」)
(IR Universe Kure)