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バナジウム市場近況2025#6 方向感乏しい、取引量減少で目先的な価格調整

2025/06/02 17:59

 2025年6月初めまでのバナジウム価格は方向感が乏しい。4月まで順調に上げていた五酸化バナジウムに調整が入った一方、フェロバナジウムは持ち直し1月以来の高値に上げた。最終製品の需要がなお弱く、取引自体が少なくなる中で、価格は目先的な高値調整と下値拾いで動き、実需との関連は薄くなっている。

 

■五酸化バナジウム3月以来の安値、フェロバナジウムは4ヵ月ぶり高値

 

過去3か月間の五酸化バナジウム価格の推移(V205 fob China)($/lb Vo205)

 

 五酸化バナジウムは5月29日に仲値$4.715/lbと、3月下旬以来の安値を付けた。4月中旬に節目の$4.8台を回復し2024年11月以来の高値に上げたものの調整が入り、この水準は保てなくなった。

 Ferroalloy.netは5月30日までの週刊レポートで「冶金および化学分野の最終製品需要が弱い中で、取引自体が減速し続けている」と指摘した。市場全体の活力が乏しく、高値での取引が難しくなっている。

 

過去3か月間のフェロバナジウム価格の推移(V78%min US$/kg EU)($/kg)

 

 鉄鋼向けのフェロバナジウムは逆に持ち直した。5月29日に仲値$24.75/kgと1月下旬以来4か月ぶりの高値を付けた。2月末から5月半ばまでは$24を挟む水準での横ばい的な推移が続いたが、5月中旬から上昇に転じている。

 しかし、Ferroalloy.netはレポートで「最近の需要の低迷と取引量の少なさは、五酸化バナジウムフレークの価格の緩和と相まって、製鉄所が購入するフェロバナジウムの価格の下押し圧力になっている」と指摘。上昇は短期的との見方を示した。

 

Topics

5月29日

 スイス資源大手のグレンコアに資産再編の観測が浮上した。アジアに近いオーストラリアにバナジウム事業を含む資産を集中させる。豪経済紙のフィナンシャル・レビューが5月29日に伝えた。

 

関連記事:グレンコアが資産再編か 外電報道、豪州に資産集中 リオ・ティントとの統合に弾みも | MIRU

 

5月23日

 

 (出所:ホワイトハウスホームページ)

 

 英ネットニュースのザ・ヒルが5月29日に伝えたところによると、トランプ米政権は5月23日、ユタ州南東部のウラン鉱山での操業再開を承認した。この鉱山は カナダのアンフィールド・エナジーが運営する予定で、ウランのほかにバナジウムも採掘されるという。

 トランプ大統領は5月23日、原子力基盤産業のテコ入れやエネルギー省の改革を含め、原子力産業の活性化に向け複数の大統領令を発した。

 

プレスリリース: Reinvigorating the Nuclear Industrial Base – The White House

 

5月22日

 オーストラリアのクイーンズランド州政府は5月22日、資源共同利用施設を設置すると発表した。第1弾としてバナジウム処理用施設を設置する。

 

関連記事: 豪州 商業採鉱プロジェクトの開発加速化を目指しQLD州で資源共同利用施設設置へ | MIRU

 

 

5月22日

 

 世界最大のエネルギー企業であるサウジアラビア国営のサウジアラムコは5月22日、自社ホームページ上で、「ガス生産活動に電力を供給する目的で、メガワット(MW)規模の再生可能エネルギー貯蔵システムの試運転に成功した」と発表した。バックアップ電池に鉄バナジウム(Fe/V)フロー電池を採用する。Fe/Vのガス運輸目的での使用は世界初。

 

プレスリリース: Aramco achieves world-first by commissioning breakthrough renewable energy storage system for gas operations | Aramco

 

(IR Universe Kure)

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