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レアメタル系スクラップ市場近況2025#6 横ばい傾向のアイテム多くも、足元の円高傾向に注意

2025/06/06 16:38

 ニッケルや銅などの相場変動が少ないこともあり、チタン系を除き横ばい傾向が多い結果となった。しかし、足元の為替が若干円高傾向にあるため、これが続けば、6月後半には下げが生じる可能性もある。また、アメリカのトランプ大統領が3日に鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を従来の25%から50%に倍増する大統領令に署名するなど、関税政策の動向からも目が離せない状況だ。ハイニッケル系の合金はアメリカ向けの輸出するケースが多いが、様子見のため、輸出をストップしている企業もあるようだ。

 

 

 

 

【チタン】

・純チタン板スクラップ(新断)「⤵」:290~310円/kg。前月から20円下げ

・合金6-4チタンダライ粉「⤵」:80~100円/kg。前月から20円下げ

・合金6-4チタンスクラップ「⤵」:130~140円/kg。前月から20円下げ

・フェロチタン「⤵」:実勢はキロ当たり5.1ドル/kg前後。前月から約0.2ドルの下げ

 

  チタン系は前月に続き、軒並み下落となった。ロシア産の安価なフェロチタンの流入が続いており、原料のチタンスクラップが在庫過多となっている状況だ。流通筋によれば、一部の海外メーカーは一旦スクラップを買い止め状態といているところもあるようだ。

 

 

 

【工具類】

・ダイス鋼MIX「→」:25円/kg。前月から横ばい

・SKD61「→」:55円/kg。前月から横ばい

・ハイス(ミックス)「→」:370~400円。前月から横ばい

・ハイス(一品もの)「→」:290~320円。前月から横ばい

・超硬スクラップ「→」:2900~3300円。前月から横ばい

 

 工具類は前月に続き全アイテムで横ばいとなった。需給のバランスも前月と同じ状態が続いているようだ。ただし、なかなか安定しない為替相場の変動が顕著になれば、相場価格に一定以上の影響が生じる場合もあり、今月後半から来月の動向には注意が必要だ。

 

 

【モリブデン系】

・酸化モリブデン「→」:前月から横ばい。仲値は20.625ドル

・フェロモリブデン「⤵」: 前月から約2.5ドル上昇し、仲値は50.25ドル。

・モリブデン新切れスクラップ「→」:3350~4350円/kg。前月から横ばい。

 

 酸化モリブデンやモリブデン新切れスクラップは横ばいだが、フェロモリブデンは大幅に上昇した。3月中旬からマイナス基調にあったが、5月中旬からプラス基調に転じた。今後、どの水準で安定するのか注視が必要といえる。

 

 

【タンタル】

・タンタライト「⤵」:93~95ドル/lb。前月から2ドルの下げ

・金属タンタル「⤴」:320~330ドル/kg。前月から12ドルの上げ

・五酸化タンタル「⤵」:249~267ドル/kg。前月から5ドルの下げ

・タンタルスクラップPIN「→」:高値29000円/kg、安値27000円/kg。前月から横ばい

・タンタルターゲットスクラップ「→」:22000円/kg前後。前月から横ばい

 

  タンタライト、金属タンタルは先月に続き上昇した一方、五酸化タンタルは下落した。ただし、五酸化タンタルを2025年1月からみると、多少の変動はあるものの仲値は250ドル台で落ち着いているともいえる。

 

【ステンレス 、耐熱系】

・SUS304「→」:140~150円。前月から横ばい

・SUS310「→」:375円/kg前後。前月から横ばい

・SUS316「→」:230~280円。前月から横ばい

・SUS330「→」:490~540円/kg。前月から横ばい

・SUS430「→」:66~74円/kg。前月から横ばい

 

 前月はマイナス基調が多かったが現在は軒並み横ばい状態にある。原料の相場変動は価格変動に影響するレベルではないものの、足元の為替が若干円高傾向にあるため、これが続けば、6月後半には一段階の下げが生じる可能性もある。

 

 

【ハイニッケル合金系】

・42アロイスクラップ「→」:630~690円/kg。前月から横ばい

・インコネル718「→」:630~870円/kg。前月から横ばい

・インコネル625「→」:900~1000円/kg。前月から横ばい

・インコロイ800「→」:460~500円/kg。前月から横ばい

・ハステロイX「→」: 670~750円/kg。前月から横ばい

・ハステロイC「→」: 800~900円/kg。前月から横ばい

 

 ハイニッケル合金系は原料相場の変動が少ないこともあり、全アイテムで横ばいとなった。ただし、ニッケルの相場水準が例年と比べると高めで推移していることから、今後の下落の可能性を考慮しなければならない。関係筋によれば、「ニッケルの需要を踏まえるとやはり相場は割高感が否めないため、徐々に下がっていくとみている関係者も多い」という。

 

 

 

 

【その他】

・キュプロニッケル(9/1)「→」:630~700円/kg。前月から横ばい

・キュプロニッケル(7/3)「→」:730~770円/kg。前月から横ばい

・コバール「→」:305~365円/kg。前月から横ばい

・カーペンター「→」:310~370円。前月から横ばい

・ステライト(Co50%他)「→」:450円前後。前月から横ばい

 

 コバルトや銅などの原料相場に動きが少ないことから全アイテムで横ばいとなった。ただし、ステンレス系同様に足元の円高基調が継続すれば、6月後半にも各アイテムの相場が下落に転じる可能性も高い。

 

 

(IRuniverse K.Kuribara)

 

 

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