先月、5/12~5/16に米サンディエゴで開催されていたReMA2025のシリーズのスピンアウト企画ではあるが、米国で活躍する様々なリサイクル企業を紹介していきたい。その1ではマレーシア発のYE CHIUgroupとCRONIMET、74Alloys。
アルミ合金業界ではおなじみのYE CHIUgroupのアメリカ仕入れ担当のJACK Liu氏に聞いた。Jack氏はアメリカで買収したシュレッダー会社のMetalico社に納品するアルミスクラップの買い付けを主業務としている。MetalicoではZorba、Tense、Tainttaborを生産し、マレーシアの「Ye Chiu Metal Smelting Sdn. Bhd.」にてアルミ合金を生産、現在は月間8万トンのアルミ合金を生産。日本向けが多いが、最近は売りづらくなっているとのこと。
また中国のアルミ合金業界は近年になく厳しく、生産を止めているアルミ合金メーカーも増えているとのこと。背景には中国でのEV(電気自動車)拡大によるアルミ合金需要の縮小、一方では過剰生産という問題がある。
マレーシアのYECHIUグループは、非鉄金属のリサイクルと加工を主事業とする企業グループ。特にアルミニウム合金の製造・取引に強みを持っている。
以下に主な特徴をまとまると
拠点と起源: 1984年にマレーシアのケンパスで創業。その後、中国に事業を拡大し、中国でA株上場している「YeChiu Metal Recycling (China) Ltd.」の親会社がYECHIUgroup。
事業内容:
アルミニウム合金インゴット事業: 廃自動車、家電、機械、家具などからアルミニウムスクラップを収集し、二次アルミニウム製品であるアルミニウム合金インゴットを製造している。
スクラップトレーディング事業: 鉄や非鉄スクラップの取引も行っている。
環境保護: 産業における環境保護を重視しており、Bureau of International Recycling (BIR) や 米ReMA のメンバーでもある。
グローバル展開: アジアとアメリカに拠点を持ち、世界中の様々な国際企業と安定したパートナーシップを築いている。
マレーシアでの活動: マレーシアには「Ye Chiu Metal Smelting Sdn. Bhd.」や「Ye Chiu Non-Ferrous Metal (M) Sdn. Bhd.」といった子会社があり、統合生産施設、物流倉庫、オフィスビルなどの建設プロジェクトも手掛けている。
CRONIMET(クロニメット)社は、ドイツに本社を置く、ステンレス鋼および特殊合金のスクラップのリサイクルと取引を専門とする国際的な企業グループ。スクラップ以外にタンタルなど鉱物資源も一部扱うが、近年主力としているステンレススクラップは不調。2021年には世界で160万トン(ステンレスおよび特殊合金スクラップ)の扱いがあったが、2023年は130万トンまで落ち込んでいる。最近はタングステンカーバイドの扱いに注力しているとのことだった。
CRONIMET社は
事業内容:
スクラップ金属のリサイクルと加工: ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、タングステンなどを含む特殊合金のスクラップを収集し、処理、販売している。
原材料の供給: 製鋼や鋳造などの産業に、高品質な二次原材料を供給している。
紛争鉱物への取り組み: タンタル、タングステンなどの紛争鉱物についても、デューデリジェンスやトレーサビリティを重視し、責任ある調達に取り組んでいる。
専門性: 特にステンレス鋼スクラップ市場において、その需要に応えるための効率的なリサイクル技術とプロセスに強みを持っています。ISO 9001などの認証も取得し、高い品質基準を維持しています。
グローバル展開: 世界6大陸に70の拠点をもっている。アメリカには「Cronimet USA」や「Cronimet Specialty Metals」といった子会社がある。
環境への配慮: 循環経済の推進を重視しており、環境に配慮したスクラップ金属の収集、加工、再販を通じて、天然資源の保護と環境負荷の低減に貢献している。
歴史: 1980年代にドイツで創業し、長年にわたり業界での経験と専門知識を培ってきた。
74 Alloysは、タングステン系合金および高速度鋼の専門会社。タングステン、デンサロイ、マロリー、タングステンエルコナイト、純タングステン、真空タングステン、工具鋼など、タングステン系合金およびその類似合金を取り扱っている。国内外から材料を調達している。
Tungcoグループの一員: 74Alloysは、タングステンカーバイドのスクラップに特化した「Tungco, Inc.」の姉妹会社として2014年に設立された。社名の「74」は、タングステンの原子番号に由来している。Tungcoグループは、タングステンカーバイドの硬質スクラップを専門とするTungco、タングステンカーバイドのスラッジや粉末を専門とするTungco Powder Procurement (TPP)、そしてタングステンカーバイド以外のタングステン合金を専門とする74Alloysという形で事業を分化している。
TungcoのNateDoner氏によると、タングステンスクラップは米国内で集め、ドイツ、ケンタッキーの工場でプロセッシングしているとのこと。扱い数量は「言えない」とのことだったが、米国屈指のタングステンスクラップリサイクラーであることは間違いない。
(IRUNIVERSE YT)