プラチナ価格が上昇している。国際価格であるニューヨーク商品取引所(COMEX)では6月9日に$1214.5/tozと、2021年5月以来およそ4年ぶりの高値を付けた。プラチナは供給不足への警戒が強い上、過去最高値圏にある金以外の投資先を探す投機家筋の買いも入りやすく、急伸している。
■1-3月期は25トンの供給不足
過去5年間のNYプラチナ価格の推移($/toz)
プラチナ上昇の背景として、まずは根強い供給不足懸念が挙げられる。業界団体の世界プラチナ投資評議会(WPIC)が5月19日に発表した2025年1-3月期のプラチナ需給は、供給が46トン、需要が71トンで、25トンの供給不足だった。
プレスリリース:2025年第1四半期WPIC Platinum Quarterlyプレスリリース
1-3月期のプラチナ需給バランス
(出所WPIC:)
WPICは2025年通年では30トンの供給不足を予想する。ジョンソンマッセイがやはり5月に発表したレポートでも、プラチナは2025年に73万6000オンスの供給不足となる見通しだ。 主要生産国である南アフリカの生産量が減る反面、自動車向けをはじめ化学やグラスファイバー、バイオ燃料、合成燃料など工業用の需要が堅調との見方が多い。
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■投資先分散で銀やパラジウムも高い
実需のほかに、プラチナには短期的資金も向かいやすくなっている。快進撃を続ける金のほかに投資先を分散する動きが手始めているためで、金に対する出遅れ感から足元では銀やパラジウム価格など他の貴金属が軒並み上げている。プラチナもこの流れに乗っている面がある。
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過去5年間の国際パラジウム価格の推移($/toz)
さらに、プラチナに関して、6月9日のmining.comは「米関税の開始を避けて春までに米国企業がプラチナなどの貴金属を先回りして買い占める動きがあった。このため、現在は英国など欧州で、プラチナ在庫が品薄になっている」と伝えた。足元では在庫分が放出され始めているものの,「世界的な品薄状態は変わっていない」という。
(IR Universe Kure)