米国の持続可能な電池リサイクル技術を提供するAce Green Recycling社(以下、Ace)は16日、オーストラリア・パースを拠点とする鉛蓄電池リサイクル企業Enecell社と、同国における電池リサイクルの拡大を目的とした戦略的協業契約を締結したと発表した。今回の合意は、Aceにとってオーストラリア初の商業契約となる。
契約の一環として、AceはEnecell社のパース施設における鉛蓄電池リサイクルから得られる再生鉛素材の全量を買い取るマスター・オフテイク契約を締結。買い取った素材は、Aceの世界的なネットワークを通じて販売される。契約期間は初期10年間で、更新可能。対象施設は年間約3,300万ポンド以上の中間再生鉛製品を処理可能であり、今後の設備拡張(鉛の精製、鋳造、合金化やリチウム電池の処理など)も契約に含まれる。
さらに、両社はAce独自のゼロ排出リサイクル技術「GREENLEAD®」の導入も検討している。この技術は、電力のみを使用し、Scope1の排出ゼロを実現する。また、リチウム電池向けのリサイクル技術「LithiumFirst™」の展開についても協議中であり、今後の市場成長が期待される。
Enecell社CEOのポール・オーウェンズ氏は、「Ace社の革新的な技術と広範な顧客ネットワークには大きな感銘を受けた。共に、オーストラリアにおける鉛およびリチウム電池の気候配慮型リサイクル事業を推進していきたい」とコメント。
Ace社CEOのニシュチャイ・チャダ氏は、「米国同様、オーストラリアでは環境規制の強化により一部の鉛製錬所が閉鎖されており、持続可能なリサイクルソリューションへの需要が高まっている。鉛リサイクルが短期的な成長の柱である一方、世界最大のリチウム生産国であるオーストラリアは、長期的にはリチウム電池リサイクルの重要市場になる」と述べた。
(IRuniverse)