経済産業省は、再生プラスチックの利用目標や定期報告を事業者に求める改正資源法の施行に向けて準備を進めている。25日には脱炭素化再生資源利用ワーキンググループの第1回会合を開き、自動車業界をはじめとした業界団体からの意見を聴取した。
経産省は脱炭素化の促進のために利用することが特に必要な資源を「脱炭素化再生資源」として位置づけており、それらを原材料として利用することが特に必要な製品を「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」として指定。対象製品の生産量や販売量が一定以上の製造事業者に対して、再生資源の利用目標を含む計画作成や定期報告を求める考えだ。
改正法の対象資源としてはまず、「再生プラスチック」を指定する方針で、同原料の定義については、プレコンシューマ材やポストコンシューマ材の両方を含むものとして調整中だ。「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」の対象分野としては、容器包装(食品(PETボトル以外)や医薬品を除く)、家電4品目、自動車に焦点を当てており、自動車分野における計画・定期報告に関する生産量・販売量の基準は「1万台以上」を原案とした。国内メーカー大手11社がすべて対象となり、輸入販売台数についても約8割をカバーする水準だ。

経産省資料より引用
経産省は2026年4月1日に改正資源法を施行。27年6月末日締めで再生材利用計画を提出させ、28年度以降の6月末日から前年度実績の定期報告提出を求めていくスケジュールを掲げている。
自動車団体、「運用開始は2031年以降に」
今回の会合に参加した自動車関連団体は、日本自動車工業会と日本自動車部品工業会(自工会)、日本自動車輸入組合の3団体。改正内容の意義と必要性については同意したものの、報告の開始時期を2031年以降に変更するよう求める意見が目立った。
自工会の担当者は「自動車はグローバル製品で世界数万社以上のサプライチェーンを有することから、再生プラスチック実績 集計システムの構築には5年程度の時間を要する」と延期の必要性を強調した。さらには欧州の使用済み自動車に関する ELV規制に基づく再生プラスチックの実績報告システムの稼働が2031年以降となる見通しであるため、日欧で異なる定義やシステム要件を運用することは、国内外部品メーカーの混乱を招くと主張した。
同会合には、日本自動車部品工業会サーキュラーエコノミー部会の担当者も出席しており、同じく2031年以降での運用開始を求めた。担当者は、自動車部品点数は約3~5万点あり、国内外全ての部品や材料メーカーのデータ報告のルール、仕組み、その信頼性が保証できる体制の整備には「十分な準備期間を考慮すべき」と見解を述べた。また、ルール決定においては、「国際ルールとの統一化を図りサプライチェーンの事務量を極小化する配慮をいただきたい」と要望した。国際ルールとの調査については日本自動車輸入組合も同調した。
運用開始時期を延期すべきかの判断は親会である資源循環経済小委員会で議論される流れとなるが、サーキュラーエコノミー分野で他国に後れを取る日本政府としては、できる限り早期に運用をスタートさせたいのが本音だろう。一方で、新たな制度の運用までには多大な労力と時間を要するのも事実。事業者の意見がどの程度汲み取られるのか、今後の動向を注視していきたい。
(IRuniverse K.Kuribara)