AGC（AGC株式会社、本社：東京、社長：平井良典）は、10 月 24 日、太陽光パネルカバーガラスのリサイクル事業において、株式会社エヌ・ピー・シー（本社：東京都台東区、以下 NPC社）と連携を開始したと発表した。同社は、2030 年までに年間数千トン規模の太陽光パネルカバーガラスリサイクル実現を目指し、他社と協力してカバーガラスの回収体制を構築している。今回、NPC社の太陽光パネルリサイクル装置を使用して分離したカバーガラスを、AGCが建築用板ガラスとして水平リサイクルする新たなスキームを確立した。
太陽光パネルの耐用年数は 20～30 年とされ、国内では 2030 年代後半に年間数十万トン規模の廃棄が見込まれる。太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクルは、持続可能な循環型社会の実現に向けた重要な取り組みになるが、カバーガラスを分離し、リサイクルに適した品質まで向上させるには、技術的・経済的な課題があった。
同社は、NPC社が開発したガラス分離装置*1 とEVAスクレーパー*2 の併用により、分離したカバーガラスに残存する接着部材をAGCの品質基準まで除去できることを確認。 これにより、リサイクル業者がNPC社の装置を導入し、高品質なリサイクルガラスをAGCに販売するというスキームが完成した。同リサイクルスキームの構築にあたり、同社は装置仕様に関する助言に加え、効率的なカレット回収に必要な物流網の整備を支援している。2025 年 9 月には、上記方法により処理したカレット 20 トンを原料の一部として使用し、AGC横浜テクニカルセンターでの建築用型板ガラス製造に成功。既存の熱分解方式や高圧水噴射技術に加え、新たな太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクル方式を導入することが可能となった。
なお、同取り組みは、NEDO（国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）の委託業務（JPNP25011）の一環で実施される。
〈注釈〉
*1 ホットナイフ分離法®️（特許第 6271468 号）により、加熱された特殊な刃を使用して、ガラスを割らずに金属を含むセルシートと分離する装置
*2 ブラシかきとり法™（特許第 7712718 号）により、特殊なブラシを回転させ、分離したガラスに残存するEVAを除去する装置
（IR universe rr）
