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ReAxel Technologies・鳥越代表、「すべては自動車資源循環のために」—レアアースの小さなループを

2026/06/25 12:58 FREE
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ReAxel Technologies・鳥越代表、「すべては自動車資源循環のために」—レアアースの小さなループを

使用済み希土類磁石から回収した混合レアアース炭酸塩(MREC)―ReAxel Technologiesのホームページから引用

 

岡山市に拠点を置くReAxel Technologies(リアクセルテクノロジーズ)は、2025年の設立以来、自動車産業における資源循環の実現を目指して革新的な取り組みを続けている。代表取締役は、本田技研工業で約10年間電気自動車などの開発エンジニアとして自動車の量産開発に携わってきた鳥越誠也氏。同氏が掲げる「すべては自動車資源循環のために」というミッションの背景には、現在の自動車産業が直面している深刻な資源問題と、それに対する強い危機感がある。

カーボンニュートラルの実現に向けた電動化の進展により、EVやハイブリッド車(HEV)の心臓部である駆動用モーターの需要は急速に拡大している。これらのモーターには、ネオジムやジスプロシウムといった高性能な希土類磁石(レアアース磁石)が不可欠である。しかし、レアアースは採掘から分離、精製に至る工程において特定の地域、特に中国への依存度が極めて高いというリスクを抱えている。

鳥越氏は、この状況をかつてのオイルショックになぞらえ、安価な供給に依存し続けることの危うさを指摘する。中東の石油への依存と同様に、レアアースも経済合理性のみを優先して安易に調達先を限定すれば、地政学的なリスクによってサプライチェーンが瞬時に寸断される恐れがあるためである。

さらに、日本国内における資源循環の現状も芳しくない。現在、国内で使用された中古EVの約8割が海外に輸出されており、貴重な資源が事実上、国外へ流出している状態にある。また、レアアースのリサイクルはコスト構造が極めて厳しく、現在の市場環境ではリサイクル材の販売だけで事業を継続させることは困難であるという。こうした経済合理性の欠如と資源の海外流出が、日本におけるレアアースリサイクル産業の発展を阻む大きな壁となっている。

 

鳥越代表(ReAxel Technologiesのホームページから引用)

 

こうした困難な課題に立ち向かうReAxel Technologiesの最大の強みは、代表である鳥越氏が持つ自動車メーカー出身者としての深い知見にある。鳥越氏は約10年間にわたり、ホンダで電動ドライブユニットの開発にエンジニアとして従事してきた。モーターの内部構造や機能などの専門知識を熟知しているだけでなく、自動車メーカーがどのような課題を抱え、どのような状況に置かれているかを実体験として理解している。

このバックグラウンドは、同社を「動脈」と呼ばれる製造工程と、「静脈」と呼ばれるリサイクル工程を繋ぐ独自の立ち位置へと導いている。従来のリサイクル事業者は、高い技術を持ちながらも自動車メーカーとの距離が遠く、バリューチェーン全体を統合することが難しかった。ReAxel Technologiesは、自動車メーカーの言語を理解するエンジニアがリサイクル事業を牽引することで、両者の架け橋となり、業界横断的な資源循環の仕組みを構築することを目指している。

 

レアアースリサイクルの受託試験サービスを開始

 

2026年5月、同社は「使用済みEV・HEVモーター由来 PCRレアアースリサイクル受託試験サービス」を開始した。PCRとは「Post-Consumer Recycled(使用済み製品由来)」の略であり、欧州の重要原材料法(CRMA)など、国際的な規制強化を見据えた戦略的なサービスである。CRMAは、2031年からリサイクル材の使用義務化や情報開示が段階的に求められる可能性を含む内容であり、自動車産業にとっても避けては通れない課題となっている。

このサービスは、自動車メーカーや部品メーカーを対象に、使用済みモーターの調達から分解、磁石の回収、湿式精錬によるレアアース成分の抽出、組成分析、さらにはリサイクルにかかるコスト評価までを、1台単位のスモールロットから一気通貫で支援するものである。単なるコンサルティングに留まらず、実際に物を触り、精製を行うR&D型の支援を行うことで、顧客企業が次世代の資源循環戦略を立てるための具体的な基礎データを提供していく考えだ。同社はすでに、使用済み磁石からリサイクル原料の中間生成物である「混合レアアース炭酸塩(MREC)」を製造するプロセスの内製化に成功しており、今回のサービスにも注目が集まっている。

 

まずは「小さなループ」の構築から

 

鳥越氏が描くビジョンは、単に法律を守るための「義務としてのリサイクル」を超えたところにある。現在の日本には、リサイクルすることが目的化してしまい、自発的な取り組みが不足しているという雰囲気があるが、鳥越氏はこれを変えていきたいと考えている。その第一歩として同社が提唱するのが、いきなり量産車で大規模な循環を目指すのではなく、まずは「小さなループ」を確実に作り上げることである。

例えば、EVモビリティサービスや電動レーシングカーといった、台数が限られており、かつ回収が容易な分野からリサイクルを始めるというアプローチである。これらは使用後に確実に回収し、再び同じ製品の原料として戻すというサーキュラーエコノミーのモデルケースを作りやすい。こうしたアイコニックな成功事例を積み重ね、徐々にそのループを拡大していくことで、資源リスクを回避できる社会を構築していくことが、同社の目指す道筋である。

また、ReAxel Technologiesの視線は、レアアースのリサイクルに留まらず、自動車のライフサイクルそのものの変革に向いており、車両を最後まで使い切るための新しいモビリティプラットフォームの構築を検討している。具体的には、新車でも中古車でもない「リファービッシュカー」というアプローチを通じ、日本国内で車を長寿命化させ、使い切る仕組みの提案である。

不動産業界におけるリノベーションのように、既存の車に手を入れて価値を再創出し、資源意識の高いオーナー間でマッチングを行うことで、安易な海外流出を防ぐ狙いがある。鳥越氏は、自動車メーカーが将来のリサイクル原料を確保するためにも、国内で車を循環させる仕組みが必要であると説く。

「すべては自動車資源循環のために」という言葉には、次世代の子供たちにとっても自動車が憧れの対象であり続けられるように、という願いが込められている。一人のエンジニアの志から始まったこの挑戦は、日本の自動車産業が世界の資源競争の中で生き残り、真の持続可能性を獲得するための鍵となるはずである。

Kota Kuribara

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