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オハラ(5218)  3Qは営業37%減に、半導体向け在庫調整が響く

2025/09/16 11:23
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オハラ(5218)  3Qは営業37%減に、半導体向け在庫調整が響く

 25/10期1~3Qは営業利益1,571百万円、前年比5.3%減となり、3Qでは520百万円、前年同期比36.7%減と減益率拡大。カメラレンズ向けが実需ベースの生産に戻ったが、半導体露光装置用高機能ガラスの在庫調整からエレクトロニクス向けの稼働率低下が響いている。会社は今25/10通期の見通しを据え置いたが、半導体露光装置向けの在庫調整は来上期まで続く見通しであり、米中摩擦の余波によるレアアースの調達リスクの影響もあり、来期業績への展望が難しい状況が続くいている。

 

25/10期1~3Qは増収も営業減益に

 25/10期1~3期は売上高2,106百万円、前年同期比1.1%増、営業利益1,571百万円、同5.3%減と中間期までの増収増益から増収減益となった。カメラ向けレンズなどの光事業は在庫調整が完了し、実需ベースの稼働率、出荷数量を回復し、開発コスト負担の減少もありセグメント損失が716百万円から414百万円に縮小した。半面、エレクトロニクスは半導体露光装置向けの高均質光学ガラスがレガシーやパワー半導体向けの在庫調整のため高機能ガラスの売上高が5,999百万円、前年同期比10.4%減となり、フォトマスク用の石英ガラスの売上高はFPD向けの好調から3,984百万円、同8.4%増となった。セグメント利益は収益性の高い高均質光学ガラスの減収によるプロダクトミックスが悪化したことで1,987百万円、前年同期比16.4%減となった。

3 Qはエレクトロニクスのセグメント利益が41%の大幅な減益に
 3Q(5~7月)の営業利益は520百万円、前年同期比36.7%減となった。光事業は2Qの営業損失177百万円から損失28百万円と損益改善したが、レクトロニクス事業は売上高が3,330百万円、前年比11.3%減となり、セグメント利益が548百万円、同41.3%減となった。3Qのエレクトロニクス事業は特殊ガラスが売上高2,103百万円、前年同期比12.8%減となっただけではなく、石英ガラスの売上高も1,277百万円、同8.6%減と減収に転じている。

 会社は25/10通期の見通しを中間期の修正値から据え置いた。計画達成の為には売上高6,433百万円、営業利益329百万円が必要となるが、3Qの実績からすると達成可能性は高い水準であるが、4Qは8月の夏季休暇による稼働率が低下し、レアアースの調達難より中国の関連会社から半製品での調達で対応することによるコストアップ要因も本格化する。半導体露光装置、石英ガラスに在庫調整から稼働率の低迷が続く見通しであり、楽観はできない状況と推察される。なお、特別利益として政策保有株式の売却益9億円を計上するため、当期利益の22億円、前年比40.3%増、配当の2円増配し25円とする計画は達成できよう。

来期も上期までは半導体関連の在庫調整が続き不透明
 半導体露光装置、石英ガラスの在庫調整は少なくとも来上半期までは続く見通し(会社の見解)。新規分野としての注力するAIサーバー向けの基板に使用される低誘電ガラスは今25/10期の売上高6億円、来期に10億円とする当初の計画ペースにある。引き合いは活発であるが、品質要求(低膨張性に対応など)への対応にも忙しく設備の改良い合わせての能力増強になっている。半導体露光装置向け高均質光学ガラスは生成AI半導体の後工程露光装置需要に期待するもまだその効果が感じられない。これら新規需要分野の収益貢献にも時間を要しそうな状況下で、中計最終年度となる来26/10期の期初業績見通しが注目されるが、多くを期待できないとの印象だ。


<株価データ>
株価(9/12):1,207円 時価総額:30,718百万円、PER(25/11CE):13.37倍、PBR(25/10中間期):0.59倍、配当利回り(26/3CE):2.07%
 

 

 

 

(叶 一真)

 

 

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