三井物産とマイクロ波化学（大阪府吹田市）は29日、マイクロ波を利用したリチウム鉱石製錬技術の実証試験用パイロット機が完成したと発表した。リチウム製錬でCO2排出の主要因になっている処理プロセスの電化でCO2排出の削減のほか、熱効率の改善を通じて省エネ効果も見込めるという。両社は2023年6月に同技術の共同開発契約を締結し、その実用化を目指してきており、年間約700トン規模で実証試験に取り組み、2030年頃の商業化を目指す。
完成したパイロット機は、マイクロ波化学の大阪事業所(大阪市住之江区)に設置した。リチウム鉱石を連続で煆焼*処理するマイクロ波昇温装置になる。マイクロ波を利用したリチウム製錬技術の開発は、世界初の試みという。新規リチウム鉱山や製錬工場への適用を検討しているという。
*煆焼（かしょう）：鉱石を高温で加熱して化学組成や結晶構造を変化させる熱処理プロセス
(IRuniverse G・Mochizuki)
