
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:德永 俊昭)と、株式会社日立ハイテク(取締役社長:高木 由充)、株式会社三菱UFJ銀行(取締役頭取執行役員:半沢 淳一)は、10月8日、日立が推進するリサイクルプラスチックをはじめとした再生材の活用促進を支援する「再生材マーケットプレイス」の事業化に向け、金融機能提供に関する検討を開始することを目的とした基本合意書を締結したと発表した。
■背景
気候変動、生物多様性の損失、廃棄物の増加、資源不足などにより、サーキュラーエコノミーが注目されている中、再生材の活用や製造工程で発生する廃材の再資源化に対するニーズが高まっている。しかし、廃材由来の再生材は、品質が安定せず、物量が変動しやすいため、取り扱いが容易ではなく、再生材の買い手と売り手である供給元(リサイクラー)とのマッチングが難しいという課題がある。
また、今後再生材需要の増加が見込まれるため、再生材製造に関与する企業への資金面でのサポートの重要性が高まることが予想される。
そうした中、マテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)[1]やAIなど先進デジタル技術を有する日立製作所と、商事機能としてマテリアル・バリューチェーン全体における幅広い知見や再生材の買い手・売り手とのタッチポイントを有する日立ハイテクとのOne Hitachiでの連携により、リサイクルプラスチックをはじめとした再生材の活用促進を支援する再生材マーケットプレイスを開発した。
2024年6月には、プロトタイプ版の実証実験を完了し[2]、現在は本再生材マーケットプレイスを活用したサービスの提供に向けた準備を進めている。
また、三菱UFJ銀行では、サーキュラーエコノミーの促進に向け、グリーンローンやサステナビリティ・リンク・ローン[3]などのさまざまなファイナンス手法を通じて、顧客の取り組みを支援してきた。
今回、こうした3社の専門性、知見、技術を掛け合わせることで、日本における再生材の利用促進に貢献できると考え、基本合意書の締結に至ったという。
[1] 材料に関するデータとAIなどのデジタル技術により、効率的に材料開発を促進するための手法
[2] ニュースリリース(2024年6月5日):https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2024/06/0605.html
[3] グリーンローン、サステナビリティ・リンク・ローン:環境問題や社会的課題の解決に資する事業の促進を目的としたローン
■金融機能の概要と各社の役割
まず初めに、三菱UFJ銀行が提供する、買い手の信用力に依拠したサプライチェーンファイナンスの活用を検討していく。具体的には、本再生材マーケットプレイスを通じて再生材の売買が成立し、発生した売掛債権を無審査・ノンリコースで早期資金化することで、同再生材マーケットプレイス参加企業(リサイクラーなどの売り手)の資金調達に貢献する。また将来的には、ファイナンスのみならず、参加企業の業務効率化に資する周辺機能の提供も検討していく予定。
日立がOne Hitachiとして取り組んでいる再生材マーケットプレイスに、三菱UFJ銀行が有する金融機能を掛け合わせることで、再生材の利用促進に繋がるサービスの実現をめざしていく。

各社の役割分担

■今後の展望
今後は、同再生材マーケットプレイス参画企業への金融機能の提供に向け、3社で検討を進めていく。
具体的には、2026年度のサービスの提供に向けて、年内にファイナンスニーズ調査検証の開始を予定。また、売り手・買い手複数の顧客に同再生材マーケットプレイスを実際に利用してもらい、MIや生成AIなどの先進デジタル技術の有用性などについて実証を進める予定だ。日立の再生材の活用促進に関するドメインナレッジとAIを用いてデータを価値に変換し、顧客や社会の課題解決に取り組むLumada 3.0への進化を通じて、さらなる価値創出を図る。
(IR universe rr)