資源大手のリオ・ティントは28日、電力調達問題を巡りグループ企業である豪州最大のアルミニウム製錬所トマゴ・アルミニウムの操業停止の可能性が浮上し、事業の潜在的な将来について従業員との協議プロセスを開始したと発表した。2022年以来、トマゴ・アルミニウムは、既存の電力供給契約が満了した場合に備え、包括的な市場調査を進めてきたが、2028年以降の採算に見合う電力調達の見通しが立っていないという。
発表によると、「トマゴ・アルミニウムの現在の操業コストの40%以上を電力が占めている」といい、「これまでに受け取った市場提案に基づくと、2029年1月以降の石炭火力エネルギーと再生可能エネルギーの両方の選択肢のコストが大幅に上昇し、操業経済性が根本的に変化し、製錬所は存続不能なままになるだろう。その結果、トマゴ・アルミニウムは、現在の電力供給契約の終了時に操業停止を検討しなければならない段階に達している」と指摘している。既存のAGLとの電力供給契約は2028年12月が期限になっているという。
トマゴ・アルミニウムのジェローム・ドゾル最高経営責任者(CEO)は「残念ながら、これまでに受け取ったすべての市場提案は、将来のエネルギー価格が商業的に実行可能ではないことを示しており、再生可能エネルギープロジェクトがいつ必要な規模で利用可能になるかについては大きな不確実性がある」と述べている。
11月21日まで続く従業員らとの協議プロセスを通じ、最終決定が下される見通し。
1983年設立のトマゴ・アルミニウムは、豪州最大のアルミニウム製錬所(ニューサウスウェールズ州トマゴ)として、年間最大59万トンのアルミニウムを生産している。同国の年間アルミニウム生産量の約40%に相当する規模だという。
オーストラリア政府が温暖化対策として自然エネルギーへの移行を進める中、同国の製錬産業にとって、エネルギー価格の高騰が課題となっている。
(IRuniverse G・Mochizuki)