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日本製鋼所:26/3期中間決算説明会を開催。原子力潜水艦国内で建設となれば・・・

2025/11/14 17:36
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日本製鋼所:26/3期中間決算説明会を開催。原子力潜水艦国内で建設となれば・・・

 11月14日13時、日本製鋼所は10日に発表した26/3期2Qの業績について決算説明会を発表した。説明に使われた資料はこちら。説明は松尾社長が行った。

 

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 ⇒「日本製鋼所:26/3期2Q決算発表。業績見通しを据え置いた

 

<26/3期中間決算実績>

〇事業セグメントの構成と主要製品(資料3ページ)

 同社の事業セグメントの構成と主要製品、それらの主なアプリケーションや市場などについて、改めて整理をしたものなので参照。

 

〇受注高・売上高・利益の状況(同7ページ)

 26年3月期中間期の前社の業績です。

 受注高は、前年同期比170億円減の1,240億円となった。樹脂製造加工機械が中国を中心とした投資決定の遅れにより当初計画を下回ったが、電力・原子力製品が想定を上回ったことで、全体としてはおおむね計画通りの進捗となった。

 売上高は、全般に豊富な受注残を着実に売上たことで、274億円の増収となった。営業利益は、主に売上の増と代価改善により39億円の増益となった。

 

〇営業利益増減(同8ページ)

 前年同期に対し、固定費を中心とした費用の増加はあるが、売上の増加と価格の改善が貢献し、39億円の増益となった。

 

〇セグメント別(同9ページ)

 産業機械事業は、受注高は前年同期比減少したが、高水準の受注残を着実に売上、増収増益。素形材事業は、売上高、営業利益は前年と同等の水準、受注は大幅に増加した。詳細は以下で

●産業機械事業(同10ページ)

 売上高は、すべてのサブセグメントで前年同期比伸長し、278億円の増加。これに価格の改善も寄与し、営業利益は32億円増の101億円となった。受注高は275億円減少の898億円。説明した通り、樹脂製造・加工機械が中国を中心に投資決定が遅れているほか、成型機が海外市場は持ち直しの方向にあったが、国内市場が停滞しており、減少。一方、防衛関連機器は減少しているが、進捗は計画通りであり、順調。その他の機械も堅調。

●素形材・エンジニアリング事業(同11ページ)

 売上高は、電力製品を中心に伸長したが、エンジャリング他が減少し、前年同期比5億円減の205億円となった。営業利益は主に固定費の増加により4億円の減少。受注高は、電力・原子力製品がともに大幅に伸長し、102億円増の328億円となった。

 

<26/3期通期計画>

〇受注・売上高・利益の計画(同13ページ)

 受注高、売上高、利益について予想を据え置いているが、中間期の市況などを反映し、内容を見直している。配当金は、後ほど説明。

 

〇営業利益増減要因(同14ページ)

 固定費、変動費の増加はあるが、売上増と価格の改善により、前期比17億円の増益を見込む。

 

〇セグメント別

 資料15ページ参照。

●産業機械事業(同16ページ)

 売上高は前回の予測と同じ2,370億円の計画。中間期の市況を反映し、成型機の減少を見込む一方、防衛関連機器とその他機械に含まれるFPD用ELA装置が増加する見込み。営業利益は前回と同じ195億円の予想。受注高は、樹脂製造・加工機械が中国を中心に低水準で推移しており、防衛関連機器やELA装置の伸長はあるが、前期より55億円減少の2,350億円を見込む。

●素形材・エンジニアリング事業(同17ページ)

 売上高は前回と同じ500億円の予想。エンジニアリングほかが防衛などの産機セグメント向けや素形材製品の能力増強工事といった社内工事対応のために減少するが、タービンローターなどの電力製品が大幅に増加するほか、原子力製品も伸長することで補えるとみている。営業利益は、好調な受注に伴う生産増に加え、コストの改善もあり、前回の予測から5億円上振れる計画。受注高は、電力・原子力製品の需要が高効率火力発電、原子力発電向けにさらに勢いを増しており、前回の予想を65億円上回る620億円を予想。

 

〇受注残高の推移と予想(同18ページ)

 前回予想と同じ、今期末には過去最高を更新する見込み。

 

〇設備投資、減価償却費、財務体質などの推移

資料の19ページを参照。

 

〇配当方針と実績(同20ページ)

中期経営計画、JGP2028期間中の配当方針については、5月に示した通り、配当性向35%以上を目標とした上で、DOE2.5%を下限に実施する。26/3期は、中間期に44円、年間では88円と、前期比2円の増配を予想。

 

<個別事業の状況>

〇事業概況

●産業機械の主要製品(同22ページ)

 造粒機は中国市場で投資決定に遅延が見られる。一方、インドなどの新興国では新規計画が進んでいる。

 二軸混錬押出機は、中国で大型案件の投資決定が遅延する一方、中国やインドなどの成長市場でグローバルスタンダード機の引き合いが増加している。フィルムシート装置は、EV向けの需要が引き続き厳しく推移しているが、機能材。包材などの需要を取り込んでいる。アフターサービスは中計を上回るペースで伸長しており好調(詳細は後ほど説明)。プラスチック成形機は、いわゆるトランプ関税を受けての各国における関税枠組みに関する交渉の進展を受け、アジアを中心に持ち直しの方向にあるが、国内市場は回復に時間を要している。また、インドなどの新興国では需要は伸長している。マグネシウム成形機は自動車向けで引き続き好調。レーザー応用装置は、FPD装置の需要が継続しており、好調。

●素形材・エンジニアリング(同23ページ)

 素形材製品は、高効率火力発電向けや原子力二次系向けに電力製品の需要が好調であるほか、原子力一次系向けも欧州を中心に堅調。国内においても、再稼働の加速に向けた使用済み燃料を輸送、保管するためのキャスク需要が堅調であるほか、発電機等の取替えに伴うローターソフト需要も出てきている。

 エンジニアリング他は外部検査工事も積極的に受注するが、防衛関連機器など増加する社内工事に対応しており好調。

 

〇トピックス

●樹脂製造・加工機械(同24ページ)

 これまで説明した通り、造粒機・二軸混練押出機の受注は、投資決定の遅延を受けて当初の想定を下回っている。また、セパレーター用フィルムシート装置の需要は引き続き停滞している。コンデンサー向けやバリア性包装材など、その他の機能性フィルム需要の取り込みを図っている。これらの装置のアフターサービスについては、売上が大きく伸長しており、29/3期には22/3期の倍近い水準に達する計画。アフターサービス市場の取り込みは、同社樹脂機械事業のユーザーの満足と信頼の獲得による将来のさらなる成長、事業の収益性の強化の両面で重要。資料の右側に示している広島製作所では、生産能力と内製化率の向上に向けた設備投資を進めている。現在は、機械製品の部品を加工する第3、第4機械工場の工事を進めている。第3機械工場は、この10月に建屋が竣工した。スマートファクトリー化のモデル工場とするべく、今後は自動無人化設備を導入し、今年度末の稼働開始を目指している。これらの新たな機械工場の設置によって、生産効率を圧倒的に高めるとともに、大型や特殊な素材など様々な部材が内製可能となる。外注削減による収益力改善はもちろんとして、製品付加価値の向上とアフターサービス事業の伸長につなげていく。

●グローバル展開の推進(同25ページ)

 成長するインド市場への対応として、9月末にはエクスペリエンスセンターを開設した。二軸混錬押出機や成形機、また大型造粒機の部品といった樹脂機械の実機を展示しているほか、プリント配線基板用のプレス機など、同社の産業機械群を広く見てもらえるようになった。二軸押出については、グローバルスタンダード機であるTEX44αRを設置しており、先月28日には現地のユーザー招いて技術セミナーを開催した。成形機については、グラフにありますように、ハイエンドの日本製電動射出成形機の輸入が増加傾向にあり、中でも容器雑貨向けの需要が拡大している。

これはMake in India政策に伴う産業の高度化と生活様式の変化に伴う高品質なプラスチック製品需要の増加が背景にある。

 同社は、インドに輸入される日本製の射出成型機のうち、自動車、家電、OA、そして需要の伸長著しい容器雑貨向けで圧倒的なシェアを有している。

 東南アジア。東南アジアにおいても需要回復の動きが見られる。

 同社としては、インド市場におけるプレゼンスを向上させ、また、インド・東南アジアでの営業網強化を通じ、拡大する需要を確実に取り込んでいく。

●防衛関連機器(26ページ)

 急速な需要の拡大に対応するべく、適地生産、相互補完の取り組みにより、生産能力の拡大を進めている。防衛関連機器事業の中核拠点である広島製作所では、新たな組立工場の建設を進めている。資料にあるように、年明け1月の竣工を目指している。また、室蘭製作所では、同社にとって新しい製品である装輪装甲車AMVの生産体制を構築してきたが、今年9月には初号機を出荷し、順次納入を進めているす。

 このほか、ミサイルの発射等についても生産ラインの増強を継続しており、レールガンの研究施策も引き続き進めている。

 これらの取り組みを通じ、防衛関連機器の売上高は29/3期には800億円規模まで成長する見込み。

 

※同社が防衛関連の部材を製造しているのは、歴史的な由来がある、同社の設立に大砲のアームストロング砲を製造していた会社が入っていたから、大砲を作るようになった。戦艦大和の主砲も同社が製造した。ちなみに、株式市場では同社のことを「アーム」呼ぶのはこのため。なお、敗戦後は、大型鉄鋼製品を扱える技術が生かせる電力分野に舵を取ったが、その後もほそぼそと製造していた。近年になって防衛関連を表面に出しているが、20年前はほとんど口外することが無かった。株式市場で、同社株の外国人の持分比率が規制されている理由にもなっているのは、軍事や原子力の技術の流出を防ぐためである。余談ついでに原子力潜水艦を国内で製造するとなった場合、原子力部材を同社が供給する可能性が高いと思われる。同社が防衛関連を製造しているし、原発主要部材も生産しているため。

 

●電力・原子力(同27ページ)

 原子力製品の市場動向を示しているが、引き続きイギリス、フランスを中心に欧州が牽引している状況。フランスでは、最新鋭の大型路EPR-2を6基建設する計画だが、昨年度に続き今期も継続して受注している。北米では、カナダでSMRの建設計画が進捗するほか、米国でもAP1000の建設計画が示されるなど、将来の市場として期待している。

 日本国内においても、将来の新規建設に向けての取り組みが進むが、足元では、再稼働の加速に向けて、キャスク部材の需要が堅調に推移している。

 資料の右側に、蒸気タービンや発電機に使用されるローターソフトなど、電力製品の市場動向を示している。この上期においても、ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)向けを中心として、高効率火力発電向けの案件が引き続き増加した。

 原子力発電向けでも、新規建設案件に加えて、すでにある発電所の運転期間が延長される流れになる。この運転期間の延長や出力向上を目的とした蒸気タービンや発電機の取替案件が国内外で増加しており、ローターシャフトを多く受注している。グラフはと同社の出荷本数をベースにしたローターシャフトの需要見通し29/3期には今年度の1.5倍に達する見込み。

 このような市場環境や引き合いの状況、長期的な需要のみ見通しを踏まえて、同社として生産能力の大幅な増強に着手することとした。

 現時点で計画している生産能力の増強に向けた取り組み(同28ページ)。

 資料の上に、発電所向け鍛鋼部材の製造プロセスのイメージを示している。

 製鋼工程では、より製造の高い材料を製造するための二次溶解装置、ESR装置を大型化し、更新する計画。これにより、圧倒的に高い温度液での運転を求められる高効率火力発電向けのローターシャフトや原子力製品はもとより、防衛関連機器の増産にも寄与することとなる。

 鍛錬工程では、鋼材をハンドリングする装置であるマニプレータを増設する。超大型の鋼塊のハンドリングは、複数の熟練工がクレーンなどの機器を用いて対応するが、マニプレータの導入により、ローターシャフトの鍛錬時間は大幅に短縮されることとなる。

 機械加工の工程では、大型ローターシャフトの増加に対応するべく、超大型旋盤を増設する。これら一連の投資によって、ローターソフトの設備能力は現在の1.5倍に増強される。

 これに合わせて要因の増強も実施していくことで、電力・原子力製品を中心とした素形材事業の長期的な成長を実現していく考え。

 

※同社が製造する鋼塊は最大670トン。原子力部材に使う際は大型が好まれるが、地球には重力があるため、その品質を一定にするのが難しい。中国は原発部材の国産化を目指しているが、均一な鋼塊を作るのに苦労している。大きな鋼塊のハンドリングや、プレスするための設備はドイツなどから購入できるが、最初の鋼塊ができないから、中国が同社に発注してくる。小さな鋼塊から作ると、継ぎ目が多くなり原子力部材としての安全性が落ちる。このため、原子力の圧力容器や大型ローターシャフトで、同社の世界シェアが高いのは、大型になればなるほど他社では一体成型(厳密には、原発の圧力容器は本体と上蓋、下豚の3パーツからできている。他社は本体部分が3つほどにわかれる)できないため。原発部材は継ぎはぎが少ない方が良いのは言うまでもない。かつて原子力ルネッサンスと言われ、世界中で原子力の建設計画が盛り上がった時、IAEAの許可を出す人たちが、同社の室蘭工場の余力をみて認可を出していたほどだ。当時は、室蘭工場には原発建設を進めている国々の国旗が掲げられていた。同社の能力加減によって建設許可が下りるのを知っていたから、実際に工場を見に来ていたからだ。また、IAEAが管理しているのは、原子力爆弾を作らないか監視するためだ。

 

 研究開発拠点の設置(同29ページ)

 中期経営計画、JGP2028では、革新技術の創出を担うものとして、既存の拠点に付随しない新たな研究開発拠点の設置を計画している。

 この新たな拠点と既存の研究所におけるコア技術の進化を合わせて、新規事業の創出、育成を実現していく。この度、その立地を千葉県柏市の柏の葉キャンパスとすることとし、用地を取得。資料の左側にあるように、同社の設立120周年にあたる27年下期の開設に向けて準備を進めている。

 資料の30ページに、既存の研究所と新たな研究所との関係などを整理しているので参照。

 

 

(IRuniverse 井上 康 )

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