2025 SMM APAC 鉛蓄電池産業会議(LABC2025:主催SMM)が4日、ベトナム・ホーチミン市で幕を開けた。欧州でのエネルギー危機や米国の輸出規制の影響を受け、鉛蓄電池の生産拠点は東南アジアへ急速に移行、とりわけベトナムは対米輸出拠点として、その存在感を増しつつある。世界の主要プレーヤーが同地に一堂に会し、2日間の日程で、大きく変貌を遂げる鉛蓄電池サプライチェーンのいまを確認、その未来図を探る。Iruniverseはメディアパートナーとして参加、弊社社員の伏見みどりが基調講演に登壇した。世界30カ国以上からおよそ300人が参加している。
LABC2025はSMM Information & Technologyの Adam Fan・Chairmanによる主催者挨拶で幕を開けた。同氏はその中で「原料不足などによるコスト上昇が見られるが、世界の鉱山由来の鉛地金生産は、緩やかに成長している」と述べ、電池産業の未来を「AIデータシステムの開発が、大幅な市場の成長をもたらすだろう」と展望した。
基調講演には以下の6人が登壇した。
①Global Lead TechnologiesのMark Stevenson・Technical Director
講演テーマ:「世界の鉛産業チェーンの現状と将来の発展動向」
②Chilwee Group Central Research InstituteのWeiguo Huang・Vice Dean
講演テーマ:「ディープサイクル用途に向けたPb–Ca–Sn格子合金の研究進展」
③Zhejiang Tianeng Resource Recycling TechnologyのChunqiang Zhang・Vice President
講演テーマ:「新たな道を探る:中国の二次鉛産業の現状を読み解く」
④Ruida Power(Vietnam)のZhaoyong Liu・Chief Engineer
講演テーマ:「鉛蓄電池エネルギー貯蔵技術の世界市場での国際競争力と将来展望」
⑤Iruniverseの伏見碧(みどり)・記者
講演テーマ:「日本における鉛蓄電池およびリチウム電池リサイクルの現状」
⑥Jain Metal GroupのMayank Pareek・Managing Director
講演テーマ:「インドの鉛リサイクル市場の現状と将来展望」
1日目の最後には、「二次鉛市場における資源競争は、世界の鉛産業チェーンをどのように再編するのか?」をテーマに、SMM Information & Technology のRock Ding・Consulting Project Managerをモデレーターにしてパネルディスカッションが行われ、4人が登壇した。パネリストは以下の通り。
①Metal Europe International FZCのAshwin Phadke・Business Development Manager
②Jain Metal GroupのMayank Pareek・Managing Director
③Malaysia Non-Ferrou Metals AssociationのEric Tan・President
④Al Qaryan International DMCCのJawed Ahmed・CEO & Founder
なお、講演・パネルディスカッションの内容については後日詳報する。
2日目の登壇者、講演テーマ等の予定は以下の通りである。
・基調講演
①SMM Information & TechnologyのRock Ding・Consulting Project Manager
講演テーマ:「電動二輪車の世界的な発展動向と鉛蓄電池産業への影響」
②Jiangsu Haibao New EnergyのWeixin Shen・Chairman
講演テーマ:「鉛蓄電池産業の世界的展望と課題」
③CONSORTIUM FOR BATTERY INNOVATION のYanchao Xing・Secretary-General
講演テーマ:「鉛電池の将来展望とCBIの概要」
④Xupai Power VietnamのWenquan Zhang・General Manager
講演テーマ:「世界の鉛蓄電池サプライチェーン市場の現状と展望」
⑤Shanghai Metals MarketのJianhua Ye・Head of Copper, Lead&Zinc
講演テーマ:「世界の鉛地金価格変動のメカニズムと中長期トレンド予測」
⑥Công Ty Cổ Phần Kim Loại Màu Bắc BộのLiqiang Zou・Chairman
講演テーマ:「ベトナム二次鉛産業チェーンの世界的発展への道筋」
・パネルディスカッションのテーマとパネリストは以下の通り。
「突破と再構築 ― 世界の鉛蓄電池サプライチェーンのグリーン再構築」
①Jujiang Power GroupのYongdong Wang・Chairman & President
②KIJO GroupのJuan Shen・Group Purchasing Director
③Xupai Power VietnamのWenquan Zhang・General Manager
④Zhejiang Tianeng Resource Recycling TechnologyのChunqiang Zhang・Vice President
モデレーターは1日目に引き続き、SMM Information & TechnologyのRock Ding・Consulting Project Managerが務める予定。
鉛蓄電池産業が著しい成長を遂げている。中国メーカーが現地に生産拠点を構えたことで、ベトナムは世界的な主要輸出国へと台頭し、2024年には米国の鉛蓄電池輸入の23.29%を占めるまでに成長。
開催地のベトナムでは、二輪車市場の拡大を背景に鉛蓄電池産業が急成長。中国系メーカーの現地生産拠点の設立もあり、2024年には米国の鉛蓄電池輸入量の23.29%をベトナムが占めるまでになっているという。

大量のバイクが走るホーチミン市内
しかし、国内の製錬能力が追いつか、現在も年間10〜15万トンの鉛インゴットを輸入に依存しているのが現状だ。
(IRuniverse G・Mochizuki)