ポリエステル繊維の循環型リサイクルの仕組みを構築
株式会社JEPLAN(代表取締役 執行役員社長:髙尾 正樹)は、4月22日(水)、AxensとIFP Energies nouvelles(以下「IFPEN」)と共に、使用済みの繊維廃棄物 数十トンを準商用設備(福岡県北九州市)でリサイクルし、100%廃棄ポリエステルから再生されたモノマー*1の製造に成功したと発表した。同実証では、ヨーロッパで回収された繊維廃棄物(ポリエステル繊維)を、フランスにて選別・前処理したうえで、原料として使用している。
*1: PETを製造する際の中間原料であるBHET(Bis(2‑hydroxyethyl) Terephthalate)
この成果は、繊維産業における循環型ポリエステルの実現に向けた重要な一歩であり、特にスポーツウェア、インテリア、ラグジュアリー分野での展開につながることが期待される。
* JEPLAN、Axens、IFPENの3社は、Rewind® PET技術を用いて、ポリエステル(PET)を主成分とする使用済みの繊維廃棄物(post-consumer PET)を対象とした本格的な産業実証に成功したことを発表。同実証は、JEPLANが運営する北九州響灘工場の準商用設備(生産能力:年間1,000トン)にて実施された。
* 同実証では、フランス国内の公共回収システムによって回収された繊維製品数十トンを対象に、パートナー企業であるNouvelles Fibres Textile社およびMapea社の2社が選別・前処理を実施した。その結果、ポリエステルのモノマーであるBHETを数十トン規模で製造することに成功しており、これらは今後、ポリエステル糸、生地、衣料品へと再生される加工される予定。
* 今回実施した、使用済みPETを対象とした数トン規模の繊維to繊維リサイクルに関する実証試験は、実際の商用稼働の条件を想定した形で行われた、世界的にも先駆的な取り組みの一つ。同実証は、繊維用ポリエステルにおける大規模なケミカルリサイクルの実現に向けた重要な一歩となるものであり、「削減(Reduce)」「再使用(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」を推進する繊維産業の関係者に対して、原料調達から製品化、リサイクルに至るサプライチェーン全体の取り組みに組み込むことが可能な、重要な技術基盤を提供する。
既存設備にも導入可能な、画期的な技術革新
Axens CEOのQuentin Debuisschertは次のように述べている。
「IFPEN、JEPLAN、Axensが共同で開発したRewind® PETプロセスの性能を、科学的知見、スケールアップエンジニアリング、そして運用面での専門性を結集することで実証しました。Axensとパートナー各社は、繊維用ポリエステルを回収から再生品化まで循環させる仕組みのために、特別に設計された最先端のリサイクル技術の堅牢性、安定性、そして高い再現性を示しました。」
この革新的なプロセスは、世界各地にある繊維用途向けポリエステルの生産拠点への導入が可能であり、化石由来原料をリサイクル原料へと置き換えることを可能にする。
市場展開および導入モデル
同技術は、食品用途を含むあらゆるPET包装材のリサイクルにおいて、すでに実証・商用化されている技術*2。今回新たに繊維用途においてもその有効性が実証された。Axensは、IFPENおよびJEPLANとライセンス契約を締結しており、「繊維to繊維」リサイクル・ループの構築を目指す世界各地の産業事業者に向けて、同技術を独占的に展開していく。
同プロセスによって再生されたPETは、糸、生地、衣料品へと再加工され、以下のような分野において「繊維to繊維」の循環型リサイクル・ループを完結させる。
* スポーツウェア・アウトドア分野(ポリエステルの主要消費分野)
* インテリア分野(椅子張り用生地、カーテン、カバーなど)
* ポリエステルを適切に配合した特定のラグジュアリー分野
*2: JEPLANは、Axens・IFPENと共にAxensによるRewind® PET ケミカルリサイクルプロセスについて商用展開の承認を得たことを発表(https://www.jeplan.co.jp/2024/10/25/16425/)
循環型社会の実現に向けて
世界の繊維生産量のおよそ60%は、ポリエステルをはじめとする合成繊維が占めている一方で、現在生産されている繊維のうち、実際に繊維から繊維へとリサイクルされた原料に由来するものは1%未満にとどまっている(出典:Textile Exchange「Materials Market Report」)。
繊維廃棄物の量が急増するなか、繊維から繊維へのリサイクルはいまだ限定的だが、今回の準商用規模での実証は、使用済み繊維を原料とした循環型ポリエステルの生産が、実用的な規模で迅速に展開可能であることを具体的に示す成果となった。
Rewind® PETプロセスは、このような背景のもと、グローバルな循環型戦略の一翼を担う技術として位置づけられる。同技術は、繊維メーカーに対しバージン原料の使用量削減や製品ライフサイクルの延長に貢献するだけでなく、使用済み繊維を最短の工程でリサイクルすることを可能にし、CO₂排出量やコストの低減にも寄与する。
IFPEN President and CEOのPierre‑Franck Chevetは次のように述べています。
「Rewind® PETを通じて、IFPENは10年以上にわたる研究成果を生かし、野心的な循環型経済の実現に向けてケミカルリサイクルを実用の段階へと進めました。私たちの取り組みにより、繊維用途をはじめとする高い品質要件が求められる分野においても使用可能な、高純度の再生モノマーの製造が可能となりました。これは非常に重要な一歩です」
また、JEPLAN CEOの髙尾 正樹は次のように述べている。
「北九州響灘工場にRewind® PETの準商用設備を運用することで、本技術が、さまざまな制約や複雑な廃棄物流を伴う実際の産業環境の中においても、十分に統合可能であることを実証しました。この画期的な成果は、性能やサステナビリティを維持したまま、非常に高い割合の再生原料を取り入れた繊維や生地を市場で展開していくための、新たな可能性を切り開くものです。」
(IR universe rr)