国際鉛亜鉛研究会(International Lead and Zinc Study Group)は4月23日、2026年の世界需給見通しを公表し、鉛市場は10万9,000トンの供給余剰、亜鉛市場は1万9,000トンの供給不足になるとの予測を示した。需給バランスだけを見れば鉛は緩和、亜鉛は均衡圏からやや引き締まり方向となる。Reuters報道をもとに市場関係者の分析を加味すると、足元の価格動向もこの構図をある程度映している。
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Press Releases – International Lead and Zinc Study Group
ILZSG sees world lead market surplus, zinc market deficit in 2026 - MINING.COM
ILZSGによれば、2026年の精製鉛需要は前年比1.1%増の1,372万トン、生産は同1.3%増の1,383万トン。これに対し精製亜鉛需要は同1.3%増の1,400万トン、生産は同1.4%増の1,399万トンとされ、亜鉛はほぼ均衡ながら供給不足に傾く計算となる。
LME鉛(左)・亜鉛(右)相場推移(現物セツル、USD/T) 1年
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■亜鉛相場、需給引き締まり観測で高値圏
LME亜鉛相場は4月後半にかけて上昇し、一時トン当たり3,460ドル超と2022年8月以来の高値圏を付けた。背景には、短期的な供給逼迫観測がある。
• LME在庫が1カ月ぶり低水準まで減少
• 亜鉛精鉱の処理費(TC)が低下 →→2026年亜鉛TC:歴史的TC安を副産物(ゲルマニウム・銀)が補完する新収益構造
• Shanghai Futures Exchange在庫も取り崩し継続
• 一部鉱山の操業障害が継続
こうした材料から売り方の買い戻し(ショートカバー)が入り、相場を押し上げたとみられる。
一方で中長期的には供給増加要因も控える。BolidenのTara鉱山再稼働、Ivanhoe MinesのKipushiプロジェクト立ち上がりなどが進めば、年後半は需給が再び緩和方向へ戻る可能性もある。
つまり、目先は逼迫、通年では均衡に近い小幅不足というのが現状の整理になる。ILZSGの1万9,000トン不足予測は、こうした市場の綱引きを反映した数字といえる。
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■鉛相場、余剰予測でも底堅さ
鉛市場については、ILZSGが10万9,000トンの供給余剰を見込んでおり、需給面では明確に緩和方向とされる。にもかかわらず、価格は比較的底堅い。4月27日時点で鉛価格は前週末比2.5ドル安の1,960.0ドル、過去1カ月では約2.8%上昇した。
鉛相場が崩れにくい背景としては、以下が指摘される。
• 自動車用・産業用バッテリー向け需要の安定
• 二次鉛(リサイクル鉛)供給の制約
• 非鉄金属全体への資金流入の波及
ただし前年比ではなお小幅安水準であり、鉛単独で強気相場入りしたわけではない。需給余剰見通しが上値を抑えている。
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■中国需要と中東情勢が共通テーマ
鉛・亜鉛ともに市場参加者が注視しているのは、中国の需要回復度合いと中東情勢だ。
中国では景気対策や製造業活動改善期待が相場心理を支える一方、不動産不振が長引けば亜鉛メッキ鋼板需要などには逆風となる。
また中東情勢の緊迫化は、エネルギー価格や物流コスト、世界景気見通しを通じて金属需要全般に影響しうる。単純な供給需給だけでは説明しきれないマクロ要因が依然大きい。
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■今後の展望
亜鉛
短期的には在庫低下と精鉱逼迫で高値圏維持の可能性がある。ただし新規供給立ち上がりが進めば、年央以降は上値が重くなりやすい。
鉛
供給余剰見通しから大幅上昇は想定しにくいが、電池需要の安定感が下値を支える。レンジ相場継続の公算が大きい。
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■総括
2026年の鉛・亜鉛市場は、鉛=余剰で安定、亜鉛=均衡下の強含みという対照的な構図となりそうだ。もっとも、足元の価格は需給統計以上に在庫変動や投機資金、中国景気、中東リスクに左右されており、統計上の余剰・不足がそのまま価格方向に直結する局面ではなくなっている。市場は「数量」よりも「逼迫感」に反応している。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意図したものではありません。