予測レンジ
| 項目 | 5月予測レンジ | コメント |
| LME | 現物後場買い 3400-3750ドル | 4月は3500ドル台中心。高値疲れはあるが供給不安で下値限定。 |
| スクラップ | 横ばい-+20円(前月最終価格より) | 合金メーカーの採算は厳しいが、原料確保優先の買いが続く。 |
| 為替 | 157-164円(一か月間TTM) | 4月末も160円台。円安基調を想定。 |
■国際概況
4月のLMEアルミは、高値圏での乱高下となった。4月平均はおおむね3600ドル前後まで切り上がり、月中には3600ドル台を試す場面もあった。背景には、中東情勢によるエネルギーコスト上昇懸念、湾岸産地金の供給不安、ドル高・円安による国内輸入コスト上昇がある。一方、急騰後の利益確定売りや中国需要の伸び悩み観測もあり、一方的な上昇ではなく、3500ドル台を中心とした荒い値動きとなった。
5月は、地政学リスクが残る限り下値は限定的とみる。ただし、4月に大きく上げた分、需要家の買い控えやスクラップ価格への転嫁遅れが出やすく、現場では「高値でも売りづらい、買いづらい」局面になりやすい。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート(TTS) 161.67円(4月1日)→161.39円(4月30日) ※月末も160円台を維持。

【国内指標】
【自動車生産】
直近の3月実績では、国内主要乗用車メーカーの生産台数は前年同月比+8.7%の74万8164台、輸出は同-0.3%の33万6544台となった。2か月連続で前年を上回り、自動車向けアルミ需要の下支え材料となっている。
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 |
| 生産台数 | 64万3000台 | 70万2000台 | 74万8164台 |
| 前年比 | -1.0% | +0.5% | +8.7% |

【自動車販売】
自販連・全軽自協の4月速報では、登録車と軽自動車を合わせた新車販売台数は37万3,933台、前年同月比+9.1%。登録車は25万5,370台、軽自動車は11万8,582台。
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
| 販売台数 | 367,720台 | 394,961台 | 490,628台 | 373,933台 |
| 前年比 | 97.7% | 96.5% | 98.2% | 109.1% |

【住宅着工戸数】
直近の3月の新設住宅着工戸数は6万3495戸、前年比-29.3%。持家・貸家・分譲住宅がいずれも減少し、季節調整済年率換算値も前月比-1.9%となった。建材・サッシ・押出材向けのアルミ需要には引き続き弱材料である。
【アルミ圧延・押出品生産数】
日本アルミニウム協会がまとめた3月のアルミ圧延品(板・押出)の出荷量は、前年同月比+6.3%の15万2481トンと5か月ぶりにプラスへ転じた。板類・押出ともに持ち直しがみられ、自動車向けや缶材関連が下支えとなった。
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 |
| 出荷量 | 13万1620t | 13万1620t | 15万2481t |
| 前年比 | -2.3% | -2.3% | +6.3% |

【アルミニウム2次合金 同合金地金等生産実績】
日本アルミニウム合金協会の3月実績では、アルミニウム二次地金・同合金地金等の生産は7万153トン、出荷は6万8815トンとなった。前年同月比では生産・出荷ともに2桁増となり、自動車向けを中心に回復基調が続いている。ただし、協会注記では令和7年12月から集計工場数が増加しており、前年比は大きく出やすい点に注意が必要である。
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 |
| 生産量 | 6万3592t | 6万3592t | 7万153t |
| 出荷量 | 6万4049t | 6万4049t | 6万8815t |

【貿易指標】
輸出は新地金885t、二次合金(再生塊)924t、アルミスクラップ3万6440t、アルミ缶6504tを反映した。輸入は新地金8万9497t、二次合金・合金地金7万9137t、スクラップ1074t、合金スクラップ1万224t。3月は円安と国際相場の高止まりを背景に、輸入コストが高い水準で推移する一方、アルミスクラップ輸出も3万6千t台と一定量を維持した。国内では二次合金向けの原料確保が続くなか、輸出採算と国内買値の綱引きが続いており、良質材は国内外ともに引き合いが残る展開となった。
【輸出】
| 品目 | 3月実績 | 前年比 | 備考 |
| 新地金 | 885t | +80.4% | 3月実績 |
| 二次合金(再生塊) | 924t | -15.3% | 3月実績 |
| スクラップ | 3万6440t | -0.7% | 3月実績 |
| アルミ缶 | 6504t | -16.9% | 3月実績 |

【輸入】
| 品目 | 3月実績 | 備考 |
| 新地金 | 8万9497t | アルミ地金99.0%以上 |
| 二次合金・合金地金 | 7万9137t | 合金地金 |
| スクラップ | 1074t | くず |
| 合金スクラップ | 1万224t | 合金くず |

■国内概況まとめ
4月の国内アルミスクラップ市場は、国際相場と為替の上昇で原料価格は高値圏に張り付いた。一方で、需要面では自動車販売・生産が持ち直し、二次合金向けは底堅い。ただし住宅着工は3月に大幅減となり、建材・押出関連の回復は鈍い。缶材や自動車関連は比較的強いが、建設関連の弱さを完全に補うほどではない。
スクラップ発生は年度末要因の反動で4月後半からやや落ち着いたとみられる。高品位材は引き続きタイトで、買い手は価格よりも数量確保を優先する場面が多い。一方、低品位材や選別負担の大きい材料は、価格転嫁が遅れると荷動きが鈍くなりやすい。 貿易面では、3月輸出はアルミスクラップ3万6440t、アルミ缶6504t、新地金885t、二次合金(再生塊)924tとなり、スクラップ輸出は前月から増加した。
[見通し】
【自動車生産】
5月は、3月の生産増を受けて自動車向け需要は底堅い展開を見込む。大型連休による稼働日減はあるが、部品不足の大きな悪化がなければ、前年並みから小幅プラス圏で推移しやすい。
【自動車販売】
4月販売は登録車が大きく増えたが、税制変更前後の登録タイミングの影響も考えられる。5月は反動減の可能性を見ながらも、受注残の消化が進めば、登録車中心に底堅い推移を想定する。
【住宅着工戸数】
3月の大幅減を踏まえると、5月も住宅・建設向けアルミ需要は弱含みが続く見通し。資材高、人手不足、金利上昇観測が着工マインドを抑え、押出材・建材スクラップの発生にも重しとなる。
【アルミ圧延・押出品生産数】
3月は5か月ぶりのプラスとなり、4月から5月にかけても缶材、自動車、輸出向け板材が下支えする見込み。ただし住宅建材向け押出は弱く、全体では急回復というより、低位からの持ち直し局面とみる。
【アルミニウム2次合金 同合金地金等生産実績】
5月の二次合金生産は、自動車向けダイカスト需要を中心に底堅いと予想する。原料スクラップ高と電力コストが採算を圧迫するため、メーカーの買値上げには慎重さも残るが、良質材不足から購買価格は高止まりしやすい。
【スクラップ景況予想】
5月の国内アルミスクラップ需給は、連休明けの荷動き再開で一時的に数量が出るものの、良質材は引き続きタイトとみる。合金メーカーは原料確保を優先する一方、製品価格への転嫁遅れから過度な高値追いには慎重。スクラップ価格は横ばいから小幅高、品種間格差が広がる展開を予想する。
【LME・為替予想】
●LME予想 5月のLMEアルミ価格は、1トン=3400~3750ドルを中心に推移すると予測する。中東情勢・電力コスト・湾岸供給不安が上値材料となる一方、4月急騰後の利益確定売りや中国需要の鈍さが上値を抑える。高値圏で荒い値動きが続くが、供給不安が残る限り大きな崩れは想定しにくい。
●為替予想 157円~164円。4月末もドル円は160円台で推移しており、米金利・地政学リスク・日本の貿易収支悪化懸念が円安圧力となる。5月も急な円高よりは、150円台後半から160円台前半での推移を想定する。
●合金メーカースクラップ購買価格 横ばい~+20円程度を予想。高値警戒感はあるが、良質材不足と為替円安が下支えとなる。