5月19に開催された神戸製鋼所の中計進捗説明に続き、休憩を挟み11時10分からカーボンニュートラルロードマップ説明会が開催された。説明に使われた資料はこちら。説明は引き続き勝川社長が行った。
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〇CNロードマップ更新の背景と事業環境認識

21年のロードマップ公表から5年が経過し、環境変化を踏まえて内容が更新した。
●鉄鋼市場の動向
グリーン鉄(GXスチール)の市場形成はまだ途上だが、政府によるプロセス転換への支援制度が本格始動し、自動車業界や建設業界などからGXスチール採用のニーズが徐々に高まっている。
●電力市場の動向
生成AIの拡大や産業の電化により電力需要の増加が見込まれている。一方で老朽化した火力発電が減少する中、再生可能エネルギーの不安定さを補う「調整電源」や「バックアップ電源」としての高効率火力発電の価値が再評価されている。
●課題と解決策
GXスチールの普及には、コストアップの価格転嫁やGX投資の予見性確保といった「経済的障壁」がある。鉄鋼メーカー単独ではなく、政府の支援や顧客の購入の広がりなど、サプライチェーン全体が一体となって市場を拡大していく必要がある。
〇鉄鋼事業のロードマップと「スクラップ溶解炉」の導入
30年度のCO2排出量30%削減(13年度比)は目処が立っており、30年代以降~40年代中盤をCNに向けた「トランジション(移行)の期間」と位置づけている。
●スクラップ溶解炉(合わせ湯方式)の導入
・概要:スクラップ溶解炉で製造した溶鋼を、既存の転炉内で高炉の溶銑と混ぜ合わせるプロセス。
・メリット:大型革新電炉への一気な転換に比べ、初期コストや変動費を抑えられる。また、自動車向けなどの「高級鋼」を含め、現在の高炉材と全く同等の品質・鋼種を提供できるのが最大の特徴。
・効果:全体の再生材比率(最大50%)とCO2削減率を押し上げる。年間約80万トンのCO2削減効果があり、原単位ベースで5%強の改善効果が見込まれる。また、GXスチールの供給能力として約40万トンを新たに上乗せできる。
●投資とスケジュール
全体で約1,000億円を投資。次期中期経営計画期間中に意思決定を行い、加古川製鉄所の第1高炉跡地に建設し、2030年代前半の生産開始を目指す。
●導入の意義
市場拡大が不透明な中で投資回収の予見性を確保するための「段階的な生産体制変革」であり、同時に顧客からのGXスチール供給や資源循環へのニーズに応えるための現実的なアプローチ。
〇電力事業のロードマップ
電力事業のロードマップ自体に大きな変更はない。
引き続き、2030年に向けてアンモニア混焼20%を目指す(第3回長期脱炭素電源オークションも落札済み)。その後は、国のエネルギー基本計画や技術動向を踏まえながら、アンモニアの高混焼や専焼、真岡発電所でのCNガス専焼化などに向けて着実に取り組んでいく方針。
〇中長期的なCNへ向けた取組み(水素・CCS)
●水素利活用の取組み(TAKASAGO GX Try Field)
高砂製作所を実証・実装の拠点「TAKASAGO GX Try Field」と名付け、水素技術の開発を進めている。
液化水素供給設備による「つくる・ためる」実証や、国内初の燃料電池ショベルの実証、ボイラーや直接加熱炉での水素混焼・専焼といった「つかう」実証を行っている。
●CCS(CO2回収・貯留)の取組み
BHPが主導する企業コンソーシアムに参加し、アジア太平洋地域でのCO2回収・有効利用・貯留の可能性調査を行っている。大阪ガスやSHELL等と共同で、関西エリアの大規模排出源からCO2を回収し、海外の地層に貯留するまでのCCSバリューチェーン構築に関する事業可能性調査を実施している。
(IRuniverse 井上 康)