Loading...

日本製鋼所:26/3期決算説明会を開催。中計を1年前倒しで達成へ

2026/05/19 14:21
文字サイズ
日本製鋼所:26/3期決算説明会を開催。中計を1年前倒しで達成へ

 5月19日13時、日本製鋼所は13日に発表した26/3期の決算を受けて説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。説明は松尾社長が行った。

 

関連記事

 ⇒「日本製鋼所:26/3期決算を発表。27/3期は増収増益予想

  

<要約>

 全体的な業績は、防衛関連の反動減を電力や原子力、産業機械分野の伸長で補い、増収増益を達成した。特にインド市場での投資活発化や、データセンター向け蓄電池需要に伴うセパレーターフィルム装置の回復など、各事業の市場環境と戦略が具体的に示された。また、成長に向けた設備投資の強化や、生産能力向上を目指した広島・室蘭製作所での新工場稼働についても言及。質疑応答では、防衛事業の拡大に伴うキャッシュフローの一時的な悪化への懸念に対し、前受金の確保や生産性向上で対応する方針が示された。最後に、世界的な原子力回帰などの環境変化を受け、7月を目処に中期経営計画をアップデートする予定。

 

<26/3期実績>

〇業績ハイライト

●26/3期実績

・受注高:3,094億円(前期比8億円減)。防衛関連の反動減があったものの、FPD向けELA装置や電力・原子力製品が伸長し、概ね前期並みとなった。

・売上高:263億円の増収。豊富な受注残の売り上げが寄与した。

・営業利益:25億円の増益。固定費・変動費が53億円増加したが、売上・生産の増加と価格の改善が上回った。

●27/3期計画

・受注高、売上高、営業利益すべてにおいて前期を上回る予想。

・営業利益:成長投資に伴う固定費の増加を見込むものの、売上増や生産増、価格改善により、17億円の増益を見込む。

●配当方針

 中期経営計画(JGP2028)期間中は、連結配当性向35%以上を目標とし、DOE2.5%を下限としている。26/3期は前期比6円増配の年間92円、27/3期も年間92円を予想。

 

〇セグメント別の状況

●産業機械事業

 26/3期は、受注高は減少(103億円減の2,482億円)したが、成形機以外の売上が伸長し、25億円増益の200億円となった。

 27/3期の売上高は前期比228億円増の2,490億円、営業利益は8億円増の208億円を計画。防衛関連機器の伸長や、中国での投資回復・新興国での伸長を見込んでいる。

●素形材事業(素形材・エンジニアリング事業)

 26/3期は、火力・原子力発電向けが大きく伸長し、受注高は88億円増の581億円となった。出荷ズレの影響で減収となったものの、生産増や価格改善により2億円の増益を確保した。

 27/3期は、電力・原子力向けが大きく増加することで、受注高は前期比179億円増の760億円と予想。売上高は128億円増の585億円、営業利益は固定費増を吸収し7億円増の95億円を見込む。

●受注残高

 産業機械、素形材ともに増加しており、過去最高の4,614億円となる見込み。

 

〇主要製品・市場の動向

●樹脂製造・加工機械

・造粒機:インドで投資が活発化しており、3四半期連続で受注。中国でも投資再開の動きがあり、今期前半での受注獲得の確度が高いと見ている。

・フィルムシート装置:EV関連投資の停滞が続いていたが、データセンターの増加を受けたESS(定置型蓄電池)向けの湿式セパレーターフィルムの需要が増加傾向にあり、確実な受注が見込まれる。

・アフターサービス:4月に「樹脂機械ソリューション事業部」を新設し、保守部品の供給や用途開発を通じて事業の安定成長を図る。

●レーザーアニール(ELA)装置

 中型デバイスのOLED(有機EL)化の進展により、中国を中心に需要が旺盛。同社のELA装置は事実上のスタンダードとなっており、横浜製作所でクリーンルームの拡張・増設を進めている。

●電力・原子力製品

・原子力: 欧州(英・仏など)や北米へ市場が拡大。フランスでの大型炉新設、米国での出力増強や再稼働、SMR(小型モジュール炉)の建設計画など具体化が進んでおり、SMRについてはサプライチェーン強化に向けた覚書を締結した。

・電力:高効率のガスタービンコンバインドサイクル向けの需要が増加。電力・原子力ともに発電設備容量は長期的に増大する見通しであり、実質的に今後10年以上は需要が続くと見ている。

 

〇設備投資・グローバル体制の強化

・広島製作所:第三機械工場が約80年ぶりに稼働を開始した。スマートファクトリー化を進め、要員を増やさずに生産能力・内製化率の向上を図る。

・室蘭製作所:ローターシャフトの生産能力1.5倍増に向けた投資(マニピュレーター等の導入)を進めている。生産能力拡大に伴い、従業員を現在の1,400名規模から約100名増員する計画であり、新たに社宅の建設も決定した。

・グローバル展開:4月1日付で本社に「グローバル戦略本部」を設置した。欧州・インドなど5地域に地域統括を置き、特にインド・バンガロールの拠点を通じて、自動車関連やメイクインインディア政策に伴う需要拡大を取り込む。

 

〇財務・キャッシュフローの状況

・27/3期のフリーキャッシュフローは、▲327億円となる予想。

・三年連続でのマイナス見込みとなるが、最大の要因は「防衛関連機器の売上増大に伴う仕掛品の増加(約250億円のキャッシュアウト)」。また、今期特有の要因として「レーザー応用装置の大口案件における主要部品の先行手配と売上のタイムラグ(約70億円)」も含まれている。

・会社側は改善策として、リードタイムの短縮だけでなく、防衛や電力・原子力、造粒機などの案件における「前受金の増大」に積極的に取り組んでいく。

 

〇中期経営計画(JGP2028)の進捗と見通し

・進捗は概ね順調だが、中計策定時(2023年)と比較して「世界的な原子力回帰」「AI・データセンター向けの電力需要増大(ESS向け需要等)」「EV投資の減速」など、大きな市場環境の変化が起きている。

・これらの変化(特に電力・原子力やセパレーターの上振れ要因等)を踏まえ、28年度の目標達成に向けた戦略アップデートを進めており、本年7月を目途に改定した中期経営計画を公表する予定。

 

※防衛関連機器の売上目標(29/3期に800億円)を前倒しで達成できる見込みとなっている主な理由は、以下の2点。

・生産能力の順調な拡大:広島製作所において、26年1月に新しい組み立て工場が予定通り竣工し、稼働を開始。さらに、室蘭製作所や名機製作所での生産相互補完の取り組みも順調に進んでいる。

・想定を上回る継続的な受注: 受注面において、装輪装甲車(AMV)の発注を継続的に獲得しており、26/3期にも新たに28両の納入契約を締結した。このように需要が会社側の想定を上回って推移していることが、業績を押し上げている。

 これらの「生産能力の拡大」と「継続的な受注」が相まって、計画から1年ほど前倒しで目標売上高に到達するペースで進捗している。詳細等は7月に予定している中期経営計画をアップデートで説明する予定。

 

 

(IRuniverse 井上 康)

井上 康

関連カテゴリ

関連記事

新着記事

ランキング