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出光のケミカルリサイクルはナフサ代替として機能するか?

2026/05/19 18:11 FREE
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 先月(2026年4月27日)に出光興産の子会社「ケミカルリサイクル・ジャパン(CRJ)」が、千葉県の市原事業所にて年間2万トンの処理能力を持つ油化設備の商業運転を開始した。

ケミカルリサイクル・ジャパン、油化ケミカルリサイクル設備の商業運転を開始

これがナフサの代替としてどのように機能するのか、そのメカニズムと業界における位置づけを整理する。

ナフサ代替として機能するメカニズム

  1. 軽質原油(ナフサ相当)への直接変換

    環境エネルギー社との協業による独自の「接触分解システム(触媒を用いた熱分解)」を活用し、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などの廃プラスチックから、軽質原油に相当する高品質な「CR油(ケミカルリサイクル油)」を生成する。

  2. 既存プラントへの直接投入

    生成されたCR油の最大の強みは、出光がすでに保有している既存の石油精製設備や石化プラント(ナフサクラッカー)に、そのまま代替原料として投入できる点です。専用の巨大な最終製品プラントをゼロから建設する必要がない。

  3. マスバランス方式での製品化

    既存ラインで従来のナフサと混合処理を行い、「マスバランス(物質収支)方式」を適用することで、新品の化石資源由来と同等品質の「ケミカルリサイクル化学品(再生プラスチックや基礎化学品)」としてサプライチェーンに供給される。

経済性と戦略的インパクト

日本の石油化学産業にとって、廃プラ由来の代替ナフサは単なる環境対策ではなく、脱炭素時代の川上事業再編という戦略的な意味を持っている。

  • CO2排出の大幅削減: 化石燃料からナフサを精製・製造するプロセスと比較して、このケミカルリサイクル経由ではCO2排出量を約42%削減できると試算されている。

  • サーマルリサイクルからの脱却: これまで「燃やして終わり(熱回収)」だった混合廃プラを、再び高機能素材の原料(モノマー)に戻せるため、資源の国内循環とナフサの輸入依存度低下に直結する。

今後の焦点:静脈インフラとの接続

技術的な代替可能性は証明されたが、今後のスケールアップにおいて最大の鍵となるのは「原料(廃プラ)の安定調達」。

現在稼働した2万トン規模からさらに生産能力を拡大していくには、自治体やリサイクラー(静脈産業)と密に連携し、リサイクルに適した廃プラスチックを高純度かつ大規模に回収・選別する強固なネットワーク網の構築が不可欠になる。

(IRUNIVERSE)

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