人型ロボットは初期の成長段階に入っており、比較的小規模な基盤からではあるものの、世界的なバッテリー需要の顕著な増加につながっています。
Benchmark Mineral Intelligenceのデータによると、2018年から2023年にかけて市場は年間約25%のペースで着実に拡大し、初期の商業化を反映していました。しかし、2023年から2025年の期間は顕著な変化を示しており、わずか2年間で需要が約13倍に増加しています。この急増は主に中国に集中しており、世界の需要の約90%を占め、米国、日本、韓国、ヨーロッパなどの他の地域をはるかに凌駕しています。


この成長の根底にあるのは、高性能バッテリーへの需要です。
人型ロボットはリチウムイオン電池システムに大きく依存しており、特にニッケルを豊富に含む正極材料を使用するものが主流です。これらの電池はエネルギー密度が高く、ロボット内部の限られたスペース内でより長時間の動作を可能にします。平均して、重量約60kgの各ユニットには、リチウム、コバルト、ニッケルなどの主要な正極材料が4~8kg必要となるため、電池は材料需要の主要な牽引役となっています1。
2040年までに世界で最大1億台の人型ロボットが製造される可能性がある
ニッケルは、人型ロボットに使用される構造部品においても重要な役割を果たしています。
ニッケルを含む高張力鋼は、歯車や荷重を受ける部品に使用され、特に過酷な産業環境や繰り返し使用される環境において、耐久性と信頼性を確保しています。
人型ロボットの用途は、さまざまな分野に広がっています。産業分野では製造や反復作業に、家庭では家事支援や高齢者介護に、医療分野では物資の運搬や患者との対話に活用されています。こうしたあらゆる用途において、長時間の稼働時間、コンパクトな設計、そして安全性へのニーズが極めて重要であり、それにより先進的なバッテリー技術の重要性がさらに高まっています。
現在、電池市場はニッケル系化学組成が主流となっており、特にニッケル・コバルト・マンガン(NCM)系が使用量の大 部分を占めています。
リン酸鉄リチウム(LFP)電池も使用されていますが、エネルギー密度が低いため、人型ロボットへの採用にはあまり適しておらず、これまでのところ普及率は限定的にとどまっています。将来的には、より高いエネルギー密度と安全性の向上を実現する全固体電池が、有望な解決策として注目されています。


ニッケル協会とは
https://nickelinstitute.org/jp/
ニッケル協会は、全世界の一次ニッケル生産者から成る世界的な団体で、会員全てを合わせれば中国を除く世界の年間ニッケル生産量のおよそ85%を占めます。協会の使命は適切な用途でのニッケルの利用を促進、及び支援することです。ニッケル協会はステンレス鋼など現行及び新規のニッケル用途の市場を成長・支援を行うと共に、公共政策と規制の基本として、健全な科学、リスク管理、社会経済的便益を促進しています。ニッケル協会の科学部門であるNiPERA Inc.を通じて、人の健康と環境に関係する最先端の科学研究も実施しています。ニッケル協会はニッケル及びニッケル含有材料に関する情報を集約する拠点であり、オフィスをアジア、欧州、北米に設置しています。
